10 思い出話 ページ9
「いいの、、、？」
「大ジョーブ！」
まさきくんは、あの頃の面影が無いと思っていたけど
大ジョーブっていいながら、ニコッと白い歯を見せる姿を
生で見たら、何と無く面影があった気がする。
マスターが改めてグラスを作ってくれて、
私はまさきくんと乾杯した。
久しぶりの再会ーーー
「Aはー、確か受験組だったよね？」
「えっ？」
「あー、小6のときさ、中学受験する奴らのことは、受験組って呼んでたんだよねー」
「そ、そうなんだ、知らなかった。」
「あ、そうなの？」
「俺さー、Aが受験してたこと、ギリギリで知ったんだよ。」
そうだ。
そうだった。
あの、制服が着たい。
その一心で受験することを決めた。
まだ子供心で。幼かったから。
でも、もし落ちたら？ってことを考えて周りの友達やクラスメイトにはいえなかった。
成績も上がってきて
合格圏内のときに、斜め後ろに座ってたまさきくんに聞かれたんだ。
『遥は受験しねーの？』
『な、なんで？』
突然聞かれて返答に困って、
そのまままさきくんに返したら、
『遥、頭イイからさ。』
そう言われて、私の心の何かが
動いたんだ。
私がなんて返したのか、覚えてないんだけど。
「まさきくん、よく覚えてるね？」
「覚えてるよー、遥が、小6からスゲー頭良くなって男子の中では有名でさー。
もしかしたら、受験すんのかなー。
って。思って聞いたの。
そしたら遥、はぐらかしたじゃん？」
「うそ、なんていったの？」
「まじでー！やっぱり？
って。」
「ウソ⁈」
「本当だよ。
俺、結構頑張って言ったのに、ケラケラしてた。」
ケラケラしたり
素直に受け止められないのは
私の悪いクセで。
このときもそうだったんだ。
私が返す言葉に困っていると
「A、人気だったもんなー。」
「えっ？
なにいってんの？
私、告白されたことも
好きとか聞いたこともなかったんだよ⁈」
「だからー、言えないの。」
「は？」
「Aは、ケラケラするから
好きでも嫌いっていうだろうなって。」
そうだったんだ、、、
「女子校行って、道まちがえたね。」
「はは！確かにAが女子校⁈って驚いたけど。」
いろいろ、大変だったけど、
楽しかったかなー、今となっては。
そんなもんだよな。
そんなもんだよ。
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作者名：遥 | 作成日時：2012年9月21日 12時
