27 変わらない ページ25
二人とも、何も話さない。
しばらく、沈黙の時間が流れた。
、
、
何を考えてるの？
やっぱり、突然会いに来たこと？
、
、
友達のままの再会なら、こんなことにはならなかったのに。
、
恋人同士になったら、もう友達にも戻れないのに。
、
、
雅紀
Aが今考えてること当てようか？
、
ネガティブな考えを巡らす私に
暖かい声が降ってきた。
、
返す言葉が見つからなくて、そのまま黙ってると
雅紀
やっぱり、変わってないなー。
しばらく、独り言のように聞こえた。
雅紀
Aは、寂しがりやで、強がりで、責任感が強くて、人一倍気遣いする。
一人で全部背負い込んで、自分の気持ちに素直じゃない。
明るさとテンションで、カバーしてまるでストレスがないように振る舞う。
そんで、絶対泣かない。
、
、
自分の中で、何かが、ぐるぐるこみ上げてくるのがわかった。
、
、
、
雅紀
今は、俺がいるじゃん。
一人じゃないだろ。
、
、
いつの間にか、隣にいた雅紀が私の頭をそっと抱き寄せた。
雅紀の手も、腕も、体も、
気持ちも、言葉も、全部暖かくて
自分の体が、溶けていくのがわかった。
、
肩の力を抜くと、
大量の涙が溢れ出して来て、止まらなかった。
、
、
その間、雅紀はずっと背中をポンポンしてくれた。
子供みたいに、わんわん泣いてた。
、
メイクがウォータープルーフじゃないこととか
綺麗に泣けてないこととか
鼻水が出てることとか
もしかしたら雅紀についてるかもしれないのに
そんなことは、どうでもよかった。
、
、
右手で背中をさすってくれて
左手で頭を支えてくれる雅紀が
優しくて、愛しくて、
最後の方は泣いてる理由が、変わっている気がした。
、
、
私
雅紀、、、好き。大好き、、、
ずっと、雅紀のこと、好き、、
少し離れて、見つめ合う。
きっとぐちゃぐちゃな私の顔。
、
、
そう思うと、見つめられてるのが恥ずかしくて会社のシャツの袖口で拭おうとした。
雅紀の両手が手が私のそれを制止して、引き寄せるように唇を重ねた。
何度も何度も重ねて、お互いの息も荒くなる。
それをこらえるように目を閉じると、
雅紀
A、目ぇ開けて？
、
、
雅紀
俺の方が、Aのことすき。
ずっと昔からAの事が好きなんだ。
、
、
雅紀に倒される形で、私はまた目を閉じた。
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作者名：遥 | 作成日時：2012年9月21日 12時
