病弱涼介くんの日記

2.熱 ページ7

山田サイド


ピピッ、ピピッ


「はぁ〜…」


やっぱあるよね…


朝から深〜いため息を吐くはめになった原因


それは、今鳴った電子音の元である体温計が
“38.0”というまあまあな記録を叩き出した為だった


でも今日は、大事な約束がある


この間ね？
大ちゃんと二人でロケがあってさ、休憩時間に裕翔のドラマ観たの


そしたら盛り上がって裕翔の現場に差し入れしに行こう！ってなってさ


裕翔には内緒だから、サプライズで届けることになって凄く楽しみにしてて


この先の予定を見て、タイミング的にも今日がベストだから絶対行きたいんだよ…


体調は今のところ熱で怠いだけ


「ケホケホッ…んんっ」


あ、あと咳も出て喉もちょっと痛いくらい


大丈夫だよね、うん！
そういうことにしよう！


先に服着替えようっと


そう思い、ソファから立ち上がると、


「っ…と…、マジか…」


ふらっと立ちくらみがして、元に戻った


どうしよ…待ち合わせ間に合うかな


少しぼーっとしてきて、ソファに座ったままになる


そんな時、手元にあるスマホの着信音がなった


「大ちゃんだ……もしもし？」


有「もしもし山田？俺！」


出てみると、無駄に元気な声が聞こえてくる


俺って、それで名乗ってるつもりなのか？笑


「んー何？遅刻しそうって？」


有「はは、何でそうなるんだよー。逆だよ逆！もう着いたの！時間、間違えて笑」


なんと、珍しいこともあるもんだ笑
まだ一時間は早い


「んなこと言われたって俺まだ家だよ。時間まで待ってて。なんなら、ちょっと遅れそうなくらい」


大ちゃんには悪いけど、今急げって言われても、立つのもやっとなのにムリ


有「えーそうなの？遅れるって寝坊？珍しい」


「んー、まあね。別に迎えに来てくれてもいいよ？笑」


不思議そうにしてるのが想像つく位、声色が変わる大ちゃんに冗談言ってみたり


ほんとはただの時間稼ぎなんだけどね笑


でも、彼は本気で受け取ったみたいで…


有「じゃあ待ってて！今から行くから！」


と言ってこっちが返事するまでもなく、通話が切られた


そして少しの間が空き、冷静になる


おいおい、ヤバいぞ…


待ち合わせ場所からウチまで約15分


結局、約束の時間より早く準備するはめになった…


とりあえず頑張って服着替えよ

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