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光さいど
偶然通りかかった薮さんに助けられたのは、本当に運が良かったと思う。
まさか、こんな形で近づけることになるとは思ってなかったけどね。
話せただけでも大満足。
薮さんは見た目通り、すごく優しくて…
この人を好きになって良かった…って心の底から思った。
ただ、薮さんが医者だったっていうことが俺の最大の誤算。
「ちょっと頑張ろっか。もしもしするだけだからね。」
初対面にも関わらず、思いっきり泣いた俺を嫌な顔一つせずに接してくれる薮さん。
でも、その手には聴診器…
「いやっ…」
大嫌いなものを目の前に、反射的に避けてしまう。
散々、甘えておいてそれはないだろう。
と思われるかもしれないけど、それだけは譲れない。
「光くん…」
困惑したように名前を呼ばれた。
あぁ、俺今すごい迷惑かけてるんだな…
「えっと…後で、病院行きます…」
俯きながら言うと、急に肩に手を置かれ、思わずビクッとしてしまう。
次の瞬間、至近距離で顔をのぞき込まれ、今度は胸がドキッと跳ね上がった。
「…本当？それは信じてもいいの？」
真っ直ぐに見つめられ、真偽を問うその表情は真剣そのもの。
「………めんなさっ…」
嘘はつけなかった。
「偉い、偉い。よく言えたね。」
「っん…」
あの優しい笑顔で、またもや泣いてしまった俺の頭を撫でてくれた｡
「…もう、大丈夫…です」
「うん。じゃあ、ちょっと頑張っちゃおうね。服は捲れるかな？」
漸く落ち着くと、薮さんは優しく笑って聴診器を構えた。
「はい…」
ギュッと服の裾を握りしめ、意を決して捲る。
「ん、ありがとね。」
強く握り締めすぎて腕が震えるけど、気にせずに始める薮さん。
だけど、やっぱり俺にとっては耐え難いことで…
「っ…んっ…や、ぶさっ…」
「上手、上手。そのままね。」
やっぱり無理って伝えようと名前を呼ぶも、やめる気配は全くない。
「ん〜、やだ…」
「もうちょっと頑張ろう。背中も聴くよ〜、深呼吸しててね。」
「んっ……………っハァ、ハァ…」
息を止めても、苦しくなって息をするまで何も言わずに続けられた。
薮さんって意外と厳しい…？
「はい、おしまい。よく頑張ったね。」
さすがに発作後だと、息を整えるのにも時間がかかって、その間に終わっちゃった。
疲れていた俺は、すぐに意識が薄らいでいく。
「ひ…る、…き…ちゃった」
ん…？
完全に眠りに落ちる直前で聞こえた声は、夢だったのだろうか…
続く (更新停止中)
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オムライス王子 - 面白くて、ドキドキしながら読まさせてもらっています。続きが気になるので、更新頑張ってください！応援しています！ (2018年3月27日 15時) (
レス) id: 0d3a15936a (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - すごく面白いです！更新待ってます (2018年3月26日 19時) (レス) id: a96fea6f39 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2018年3月17日 21時
