41.空虚を埋める、 ページ45
…夢、だろうか。
僕は今、前世……鳴海悠だった頃の姿で、鳴海悠だった頃の自室で眠っていた。
身を起こし、とりあえずリビングに向かおうか、と歩み始める。
自室は二階で、リビングは一階。階段を降りていくと、リビングの扉が見えた。
中からは笑い声が聞こえてきて、直感的に家族の声だ、とわかった。いや、家族以外だったらなんで家にいるのか不安だけど。
思いきって、扉を開けた。
中には、母、父、兄…と全員揃っていて、僕を見ると笑顔を見せた。
「おい悠！まーた寝てたのか？そんなんだからデブに……」
「ハァ？！煩いな？！」
あー、悠が嫁に行けるか心配、なんてウザイ位にニヤニヤして僕を見やる兄。
「宗多、お前は勉強頑張りなさいよ」
「ぐっ…」
「ハッ、ざまぁないな！」
「なんだとゴラ！」
そんな兄を、学習面で咎める父。
「あら、貴方も遊び過ぎには注意しなさいよ？お小遣い減らしちゃうぞ〜」
「それは勘弁」
そんな父を、尻に敷く母。
……あぁ。いつも通りだ。本当に、いつも通り。これが、平凡だった。
一番、幸せだった。
皆で笑い合っていると、皆の顔がぼやけて行く。
……いや、自分の体が、薄くなって行く。
誰も、そのことに気付いていない。
「待って、まだ………一緒に…」
僕が嘆願しても、僕が消えて行くスピードは変わらない。
どんどん自分の体が闇に融けて行き……静寂。あの、リビングの声も聞こえない。
僕の姿は、『A=シルヴァン』の姿になっていた。
もう、無理なのだろうか。『あそこ』に戻るのは。堪らず、涙が零れる。
確かに、今も幸せだ。
好きな世界、大好きな人達……。前の世界より、充実している。
だけど、何なんだろうか。この胸に空いた、穴は。
前に、『こちら』での僕の大好きな人達が見えた。
…あぁ、皆優し過ぎるから。
いつまでも、皆に縋るしかないのだ。
ラッキーカラー
あずきいろ
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:re(プロフ) - さなさん» ありがとうございます！誤字等が目立つとは思いますが、楽しんで頂けたようで何よりです！ (2017年8月16日 20時) (
レス) id: b31406f440 (このIDを非表示/違反報告)
さな - おもしろい (2017年8月16日 19時) (レス) id: ebf3cd243b (このIDを非表示/違反報告)
火怨(プロフ) - ありがとうございます。 (2017年7月21日 19時) (レス) id: c7b0e83110 (このIDを非表示/違反報告)
:re(プロフ) - 火怨さん» コメントありがとうございます！もう公開しましたので、どうぞ閲覧ください！ (2017年7月20日 20時) (レス) id: b31406f440 (このIDを非表示/違反報告)
:re(プロフ) - 光寿さん» コメントありがとうございます！続き公開致しましたので、どうぞ閲覧よろしくお願いします！ (2017年7月20日 20時) (レス) id: b31406f440 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：:re | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tokyoghoul1/
作成日時：2017年7月7日 0時
