東京五輪-頂点を目指して-2 (ページ5)

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目が覚めるとページ5

「ん……」

　気づくと真っ暗な部屋だった。

　どこ…？

　少し目が慣れてくると、カーテン越しに薄らと光が差し込んでいるのがわかった。

　少し硬いベッド。
　違和感のある左腕には、管が繋がれていた。

　あぁ…病院か…。
　点滴されてる……。

　「ゲホッ…コンッコンッ…コンッ」

　急に息苦しくなって咳が止まらない。

　「ゲホッ…ゲホッ……」

　見渡す限り誰もいない…か。
　個室なのかな……。
　苦しい…。
　
　咳き込むと、死球が当たった腰まで痛む。

　うずくまるような体勢で耐えていた時、扉が開く音がした。

　「坂本さん？気がつかれましたか？体調はいかがですか？」

　看護師さんが来てくれたらしい。

　「コンッコンッ… ちょっとくるし…っ」

　「咳が酷いですね…少し身体起こしましょうか。落ち着いたら水を飲みましょう」

　なんとかおさまり、恐る恐る状況を聞く。

　「ここ…病院…ですよね？」

　「そうです、選手村の最寄りの。高熱でぐったりで、山田選手と栗原選手が連れて来て下さりました」

　「そうですか…」

　「当直の先生呼んで来るので、少し起きていて下さいね」

　ベッドの隣に置いてあったスマホを見ると、夜中の1時半。

　哲人や多くの選手たちから心配の連絡が来ていた。

　皆に返す元気はなくて、
　『迷惑と心配かけてごめん。病院につれてきてくれてありがとう』
　と、哲人と栗にだけメッセージを送った。