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「無事掴めたようだ…な」
情報を手に入れたと男に連絡されたユダはあの後10分後に雑居ビルへ、ノコノコとやってきた。嵌められているとも知らずに。
任務は滞りなく成功だと、浮ついていたユダは目の前の状況を目にするなり、足を止めた。
男は縛られ、床にひれ伏せられている。その横にはAが仁王立ちで立っていた。
「…誰だ」
「アナタがボンテンの幹部様ですかぁ」
「ッチ、殺すぞ」
ユダはポケットから銃を取りだしAに向けたがAはびくともせず表情を変えた。それも口角をあげて。
「俺はアンタなんか見たことねェけどな」
「…は?」
蘭がそういいながら、ユダの顬に銃を突きつけた。Aに気を取られていたユダは、後ろから近づいていた蘭の存在に気付かなかった。
「だからァ、俺は見たことねぇんだよお前を幹部会で。」
「…その印は…ッ」
「俺らが何者か知っての愚行かなぁ」
ユダは蘭の喉元を見た後、カランと音を立ててユダの腕から銃を落とした。否、落ちたのだ。
「…か、幹部の…」
その後の言葉は紡がれる事無かった。蘭によって。硝煙の匂いと、耳を一瞬劈く音を最後に。
「春千夜、コイツは?」
「テメェ、俺の仕事を取りやがったな」
「あは、つい」
「ついじゃねェ、ぶち殺すぞ」
「できるもんならやれよ」
人を殺したというのに、何事も無かったかのように喧嘩をしだす目の前の2人に男は絶句した。これが本当の梵天なのだと。
「さぁ、貴方はどうしよっか」
頭上から聞こえる陽気な声に、ゾクリと背筋を凍らした男はゆっくりと上を見やった。こんな状況でさえ、見惚れるほどに綺麗な顔をしていたAと目が合い、ごくりと生唾を呑んだ。
「A、どけ」
春千夜のその言葉の後に響く銃声は、男の頭を貫き、そのまま前に倒れていった。
「あー!この人の顔面タイプだったのに」
「何言ってんの、オマエ」
そばに居たAの服にはポツポツと血飛沫が飛んでいたが、気にする事もなく寧ろこの男が死んだことを惜しく思うような言動をした。
春千夜と蘭はその言葉を聞くなり深く溜息をついた。春千夜が薬中毒と言うのなら、Aは色情狂だ。毎日誰かしらを引っ掛けては行為に及んでいる事を梵天の幹部なら誰でも知っている。
「さぁ、帰ろ…、首領が待ってる」
「あぁ、コレ処理しとけよ」
「はい、」
蘭が部下に処理を押し付け、春千夜と蘭とAはビルを去った。
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綾人 - 21.22話ぐらいの時に綾辻くんの名前を綾人で設定していたので、なにがなんだか分からなくなってしまってカオスで面白い状況になっていて笑いました!こういう小説がずっと読みたかったので嬉しいです。これからも無理せず頑張ってください! (7月27日 21時) (レス) id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます。この作品に出会ってくれて本当に嬉しいです。私も綾辻くんには思い入れがあるのでこれからぜひ推してあげてください (2023年2月27日 1時) (レス) id: 4cbd1f8990 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。綾辻くん本当に可愛くていつの間にか、推しになっていた、とっても面白い作品でした!完結する前に出会えなかったこと、とても悔しいです。この作品を作って、残していただきありがとうございました! (2023年2月19日 11時) (レス) @page47 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - あ。さん» そうです!18禁じゃないリクエストもお受けしております〜! (2022年4月17日 11時) (レス) id: 47f23e3d75 (このIDを非表示/違反報告)
あ。(プロフ) - 短編集ってR18のほうですか?いつも面白いです! (2022年4月17日 8時) (レス) id: 976bfd9362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Noah | 作成日時:2021年10月25日 15時