4 ページ4
「邪魔だどけ」
「…なに、入るんじゃん。」
風呂場のドアを開け入ってくるなり上から降ってくる言葉に、声がする方を向けば春千夜がいた。口角をあげて笑うAに春千夜は腹は立つが悪い気はしなかった。
「俺の上」
「はいはい」
春千夜が下に、その上にAが乗るようにして仰向けで湯船に浸かった。成人男性2人。それもタッパのそこそこある2人が足を伸ばせるくらいに大きい浴槽は、ノンストレスで気持ちいい。
「春ちゃん髪伸びたね」
「…あ？確かにそうだな｣
「首にあたって擽ったい」
ふふ、と小さく笑うAは、春千夜の、髪を1束取ってそこにキスをした。
「なにしてんだ」
「んー…綺麗だなって」
｢お前のが綺麗だけどな｣
｢そう？変わんないよ｣
目が覚めれば、横にすやすやと眠る春千夜が居た。起きてる時とは違い、穏やかな表情を見せて眠る無防備な春千夜をAはうっとりと見つめた。
黙っていれば整った顔をしているのに。
ベッドサイド脇のテーブルに転がる錠剤を1つ口に入れたA。ちょうどそのタイミングでぐっと腕を掴まれる。犯人は春千夜だ。
「…おい」
「おはよう」
「口に入れたものだせ」
「もう飲んじゃった」
「…はぁ、ヤクはやめろ」
「なにそれ春ちゃんが言っちゃうの？」
「オマエにはまだはやい」
「えー」
Aが口にしたのは、春千夜が愛用している薬だった。薬と言ってもそんないいモノではない。普通なら所持しているだけで捕まる代物だ。
「喉乾いた…」
掴まれていた腕を剥がし、裸のまま冷蔵庫を開けに行くAにため息をついて、Aに向かって下着と服を投げつけた
「服を着ろ」
「下着取ってきてくれたの？」
「前にAが置いて帰ったヤツ」
「あー、ありがとう」
どうやら前回忘れて帰ったものを洗濯して置いてくれていたらしい。春千夜のTシャツとズボンも一緒に投げ渡され、着替えるが、どうしても身長差の関係で下が緩すぎてすぐ落ちてしまった為、まぁギリ隠れてるからいいか、とAは履くことを諦めた。
ごくごくと冷蔵庫にあったミネラルウォーターを飲んでいたとき、ベッドサイドからバイブレーションの音が響き始めた。春千夜はAのスマホをAに向かって投げ飛ばした。落としたらどうすんだと思うAだったが、きちんとAの欲しい手の平に届いたのでまぁいい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1761人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
綾人 - 21.22話ぐらいの時に綾辻くんの名前を綾人で設定していたので、なにがなんだか分からなくなってしまってカオスで面白い状況になっていて笑いました！こういう小説がずっと読みたかったので嬉しいです。これからも無理せず頑張ってください！ (7月27日 21時) (
レス) id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます。この作品に出会ってくれて本当に嬉しいです。私も綾辻くんには思い入れがあるのでこれからぜひ推してあげてください (2023年2月27日 1時) (レス) id: 4cbd1f8990 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。綾辻くん本当に可愛くていつの間にか、推しになっていた、とっても面白い作品でした！完結する前に出会えなかったこと、とても悔しいです。この作品を作って、残していただきありがとうございました！ (2023年2月19日 11時) (レス) @page47 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - あ。さん» そうです！18禁じゃないリクエストもお受けしております〜！ (2022年4月17日 11時) (レス) id: 47f23e3d75 (このIDを非表示/違反報告)
あ。(プロフ) - 短編集ってR18のほうですか？いつも面白いです！ (2022年4月17日 8時) (レス) id: 976bfd9362 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Noah | 作成日時：2021年10月25日 15時
