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「黒狐だ」
蘭はその言葉にピクっと反応し、銃を持つ手に力を入れた。黒狐は中国と関係を持つ日本の犯罪組織の一つであるからだ。勿論梵天のが格上だが、近頃だんだんと力を付けてきており、マイキーからも目をつけろと命令されている組織になっていた。
こいつは黒狐の人間なのだろうか。それにしては口が緩すぎはしないかと蘭は頭を巡らせた。
「俺は黒狐の人間でなぁ、まぁ末端だけどね」
「…へぇ」
「…で、どう?引き受けてくれる?」
「いいぜ、」
「ありがとう」
そう言って、つらつらと作戦を述べていく末端だという男の言葉に適当に相槌を打ちながバーに戻った。
Aのカクテルにさりげなく入れて欲しいという事だったが、男の酒にバレないように入れれば完璧。Aのものには中は空っぽのハードカプセルを入れた。これで入れたという証拠も見せられるだろう。
数分経っただろうか、お喋りの耐えない男の口がだんだんと回らなくなり、グラスを持つ手が離れて、パリンと爽快な音を立てて割れた。
「な、んで」
力の入らなくなった体と、焦点の合わなくなった目で蘭を見た男に、ふっ、と鼻で笑って男をそのままバーから連れ出し、路地裏に投げ捨てた。
脅威になる者は消せという決まりの元、懐にしまっていた銃を脳天に突きつけた。まぁ、こいつぐらいじゃ脅威になるとは思えないが。
「蘭、ストップ」
「…A」
いつの間に外に出ていたのか、横にはAが立っていた。Aの言う通りに引き金から指を外した。
「ぁ、あやと、くん」
「あは、かーあいいね」
ぼやける目の前には、男が所望していた綾人、Aが男の前に座り込んだ。男はだんだんと動かなくなる腕を必死に持ち上げて、Aの頬に触れた。
それに呼応するように、Aも男に近付き、耳元で囁いた。
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綾人 - 21.22話ぐらいの時に綾辻くんの名前を綾人で設定していたので、なにがなんだか分からなくなってしまってカオスで面白い状況になっていて笑いました!こういう小説がずっと読みたかったので嬉しいです。これからも無理せず頑張ってください! (7月27日 21時) (レス) id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます。この作品に出会ってくれて本当に嬉しいです。私も綾辻くんには思い入れがあるのでこれからぜひ推してあげてください (2023年2月27日 1時) (レス) id: 4cbd1f8990 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。綾辻くん本当に可愛くていつの間にか、推しになっていた、とっても面白い作品でした!完結する前に出会えなかったこと、とても悔しいです。この作品を作って、残していただきありがとうございました! (2023年2月19日 11時) (レス) @page47 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - あ。さん» そうです!18禁じゃないリクエストもお受けしております〜! (2022年4月17日 11時) (レス) id: 47f23e3d75 (このIDを非表示/違反報告)
あ。(プロフ) - 短編集ってR18のほうですか?いつも面白いです! (2022年4月17日 8時) (レス) id: 976bfd9362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Noah | 作成日時:2021年10月25日 15時