ヒツジと狼 #tokyo-revengers (ページ8)

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ヒツジと狼⑥ ページ8

それからというものの、

蘭ちゃんAちゃん

Aはーい?

蘭ちゃん今日暇?

A21時までバイトだよ

蘭ちゃん行くわ～

「…竜胆くん」

「ん？」

「今日ってさ、」

「兄ちゃんとお前んとこだな」

「やっぱり共有はやいね」

大学では竜胆くんと一緒にいる時間が増えて
講義もだいたい隣で受けるようになったり

「…また怪我してる」

「それ食いたい。ちょうだい」

「え～」

「んだよそんな顔しても食うぞ」

春千夜はふらっと来ては帰ったり

「やほ～」

「ほんとに来た」

「なんだよその感想(笑)俺コーヒーで」

「蘭ちゃんも。Aちゃん待ってっからな～怪我すんなよ～」

バイト先にたびたび灰谷兄弟が現れては、終わるのを待ってくれて一緒に帰ったり

「今日何食う～？」

「和食」

「イタリアン」

「竜胆とAちゃんジャンケンな～」

「今回は譲らねぇ」

「私のセリフ！」

「じゃあ間取って中華にすっか」

「「？！！」」

休日は街中を3人でぶらぶら遊んだりと

私の毎日は変わっていった。

「集会」

「うん。単語だけ言うのやめて」

「鍵、俺が出てったらちゃんとかけろ」

「うん」

「…おやすみ」

「おやすみ」

私の家にきて、一緒にご飯を食べていた春千夜。
玄関で靴を履いて黒いマスクをつけてドアノブに手を伸ばす。

バタン、と閉じたドアをしばらく眺めて、思い出したように鍵をかけた後に
共用廊下に響く足音がして、春千夜が鍵をかけ終わるのを待っていてくれたことに気付く。

食器を洗って、お風呂に入って、課題を片付けて

「…明日食べるもの何にもないや」

朝ごはんはどっちでもいいけれど
お昼はお弁当を作っているから、その材料が何もないことに気付く。

すぐ帰ってきたらいいか、そう思って
財布とケータイ、それから家の鍵だけ持って家を出た。

時間的にコンビニしかあいてないけれど、最近のコンビニは何でも売ってるから助かる。

徒歩15分のコンビニ
好奇心が勝ってしまう私は、わざわざ遠回りを選んでしまう。

イヤホン、持ってこればよかったなあ。

閑静な住宅街を選んだおかげで、少しスリルはあるけれど
街灯が照らす道はまっすぐ続いている。

星は、この街では見えない。