ヒツジと狼 #tokyo-revengers (ページ48)

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ヒツジと狼㊻ページ48

「邪魔だ！どけクソアマ！！」

声と同時に、背中に当たる衝撃

思わずよろけたその身体は、誰かの腕に抱えられて
ほぼ同時、テレビでしか聞いたことのない銃声が斜め上、すぐそこで鳴る

何が、起こったのか

何もわからないまま、動けなくて

ゆっくりとあげた顔

「…ら、んちゃん…？」

「あーあ、見られちった～♡」

私にぶつかった人、どこに行ってしまったのか
捻ろうとした頭を蘭ちゃんが腕で包む

「怖がらせてごめんなぁ。Aちゃんには見せたくなかったんだけど」

「…蘭ちゃん」

「蘭ちゃんだぞ～？」

確かめるか？って私の頭をするりと撫でる手

その蘭ちゃんの後ろから、気だるげな声が聞こえた

「終わったならさっさと帰んぞ」

間違えるはずがない

「………はる、ちよ…？」

目が合う

その瞬間、蘭ちゃんに抱えられていた身体は
コンクリートの壁に叩きつけられていた

「……なんで…」

ピンク色の髪
いつ染めたんだろう

口元の傷
身長、伸びてる

見慣れないスーツ姿

目の前にいる春千夜が、私の頭に銃を押し付ける

「…こんなところで何してんだァ？」

「…っ」

「おっかしいと思ったんだよなァ。あんな雑魚に幹部二人もつけてよォ」

「はるち『喋んな！！！』」

なんで

春千夜なのに、春千夜じゃないみたい

コンクリートに当たった背中も
銃が突き付けられてる頭もずっと痛い

でも一番痛いのは、こころで

「……どこ、いってたの…？」

「俺の声が聞こえねェんか？喋んなっつっただろうが」

「なんで、いなくなっちゃったの」

「…」

ドン！

私の真横
風を感じるその距離で、銃弾が放たれる

「…おいてかないで」

「…」

「……っおいてかないで…」

怖くなかった

また会えなくなるほうが、よっぽど怖かった

春千夜のいない未来が、こわかった

ひとつため息をついて、銃を下す春千夜

「…死にてェの？」

もう一度、さっきよりも強く、銃を私の額に押し付ける