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ヒツジと狼㊺ ページ47

ふとした瞬間に、つまらないなって思うことが増えた。




竜胆くんや蘭ちゃんといるときには思わないし
春千夜といたころにも、思ったことはなかったけれど



一人でいると思ってしまう。







「お疲れ様です」








生きていくために、命をつなぐためにお金が必要で
だから、仕事をして働いて

あれ、生きる理由ってなんだっけ、って









いつか蘭ちゃんと話していた金木犀を思い出す。









蘭ちゃん、死ぬって言ってたな。つまんないから。
私はなんて言ったっけ。枯れるのを待つ、って


つまらないのは、私だ。









竜胆くんURL
竜胆くん次の休みここいこ
竜胆くん兄ちゃんもくるって
Aおいしそう
竜胆くん超うまい
A行ったの?
竜胆くんこの前接待で使った









時刻は22時を回っていて、この時間に帰ることにもう何も感じなくなっていた。





こうして竜胆くんや蘭ちゃんと連絡をとっていると、楽しいと感じていた頃を思い出す。

楽しいと思うよりは、毎日必死に生きて
本気で喜んで悲しんで、一生懸命で









「…まぶしい」








今の私にとって。











A竜胆くんが言うなら間違いない
竜胆くんまかせろ
竜胆くんいま仕事終わり?
Aうん
竜胆くん社畜極めてんな。気を付けて帰れよ
竜胆くんなんかあったらすぐ連絡して
Aありがとう。ついたらまた連絡するね









懐かしい思いに駆られる
一生懸命生きていた私たちが、通っていた道を歩きたくなった






手をつないで歩いた道
道の真ん中で号泣したところ
蘭ちゃんと竜胆くんに、はじめて会った道
春千夜の喧嘩している姿をみた道









ここの路地を入れば、小さいころに捨て猫を見つけた道だ









一歩、踏み入れる
二歩
三歩









春千夜はいつから離れることを考えていたんだろう



お守り、ボロボロになっちゃったけどずっと持ってるんだよ
毎年一緒に、年を越して初詣も行ってたのに
会えなくなってからじゃ、いけなくて

蘭ちゃんと竜胆くんが連れ出してくれたなんでもない日に、
いつか会えたらって買ったお守り、ずっと持ってるのに







春千夜だけが、ここにはいない

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作者名:san | 作成日時:2021年9月30日 1時

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