ヒツジと狼㉙ ページ31
「うわ」
朝、目が覚めてケータイの画面をみて絶句した。
昨日はあれから、竜胆くんの作ってくれたご飯を食べて
家まで送ってもらって
ポストに入っていた写真、数えたら明らかに増えていて
どっと疲れてすぐに寝てしまった。
だから、春千夜に電話をかけないままだったのだ。
きっと起きて待っていてくれたのだろう
数十件のメッセージと通話履歴が並ぶ画面に、申し訳なさを感じる。
「もしもし!」
「…おー、不良娘」
「ごめん!本当にごめんなさい」
「言い訳くらいは聞いてやる」
あわてて電話して
でも、どこまで春千夜に言っていいんだろう
春千夜は蘭ちゃんと竜胆くんのことを好いてはいなくて
だから一緒にいたことを伝えれば嫌な思いをするのかもしれない
コーヒーの件は?言えるはずない。
春千夜だから、何するか分からないし私にとってはもうどうでもいい案件だ。
「バイト疲れて、帰ってすぐ寝ちゃった」
「…ふーん」
「…」
「…お前さ、」
「…なに」
「俺いなくても平気だろ」
「…は?」
「しばらく連絡してくんな」
なにそれ、って言いかけた言葉を機械音が遮る
なんでそんなこと言うの
分からないのに、自分が傷ついていることは分かる
それが何となく、おこがましいと思っていることも分かる
喧嘩なんて何度もした
でも、年を取るほど喧嘩に使うエネルギーが多くて
簡単に傷ついてしまう自分がいて
痛い、胸が。
春千夜なのにな
春千夜、だからかな
「…は〜」
時間が解決してくれるだろう
そう、思ってバイトの用意をする。
今日は講義は休みだから、午前中からランチが終わるまではバイトをいれた。
昨日の今日だから、正直明るい気持ちにはなれないけれど。
竜胆くん今日何すんの
Aバイトだよ。竜胆くんは?
竜胆くん抗争見に行く。兄ちゃんがこねーのって聞いてる
蘭ちゃんAちゃんこねーの?
A行けないや。楽しんできてね〜
竜胆くんと蘭ちゃんから、それぞれ了解と文句のLINEが届く
抗争って喧嘩だよね。喧嘩の見学ってできるんだ。
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作者名:san | 作成日時:2021年9月30日 1時