ヒツジと狼 #tokyo-revengers (ページ15)

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ヒツジと狼⑬ ページ15

「A」

「ん？」

「なんかあった？」

隣に腰かけて、頬杖をつく竜胆くんにそう、聞かれて
私はテンプレのように笑顔を張り付けて言う

「何が？」

「最近ボーっとしてねぇ？まあいつもだけど」

「誰がいつもボーっとしてるよ」

「だからAだって」

数日前、LINEに通知がきた。

見たことのない名前だった。

ㅤㅤ突然ごめんね!よければ追加して!話したいです

分からなくて、返事をしなかった。

「なんかあんなら言えよ」

「うん。蘭ちゃん元気？」

「昨日も会ったろ記憶飛んでんの？」

「今日はカフェ行くって言ってたね」

「ん。忘れて先帰ろうとすんなよ」

「いつも竜胆くんが見張ってるじゃん」

それからも一方的に連絡がきて、同じ学部であることを知って
私は一切返事をしなくて

っていうのも春千夜に一人暮らしを始めるころからきつく言われてるからで。

ㅤㅤ灰谷とよく一緒にいるよね?仲いいの?
ㅤㅤおーい
ㅤㅤ無視?
ㅤㅤ見てんなら返事してよ

同じ学部だといっても全員を把握しているわけもないし
なんとなく、本当になんとなくだけど
LINEから嫌な雰囲気を感じ取っていたから、できれば関わりたくなかった。

「Aちゃん、それ甘くねぇよ？ほんとに飲める？」

「？」

「あー、それ蘭ちゃんに貸してみ」

「え」

「ハイ没収。竜胆」

「ん。ラテな」

放課後のカフェ。

手に持っていた飲み物を蘭ちゃんに没収されて、手持ち無沙汰になった私を頬杖をつきながらのぞき込む蘭ちゃんと目が合う。

またボーっとしてたんだ。

「Aちゃん好み変わった？コーヒー飲めたか～？」

蘭ちゃんの手には私が持っていたであろう、ブラックコーヒーがあって

「…たまには」

「ラテでさえシロップ入れてるのは誰だ～？」

「あは、ここのカフェ落ち着くね」

「何があった？」

「え？」

「竜胆も心配してっぞ？」

ブロック、して
それで終わればいいんだ。

「A、ホットでよかったか？」

「ありがとう。ごめんねわざわざ」

「んで？何があった？」

「あー、その話」

それで解決するじゃないか。

もともと面識があるわけでもないし、これからどうこうなるわけでもない。

「漫画にハマっちゃって徹夜続き」

そう、言い聞かせて指をスライドした。