ヒーローと甘々。その６。【仮面ライダー】【スーパー戦隊】 (ページ10)

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✿譲りたく無くなる程。　オーズ【火野映司】ページ10

✿Makua*ぼっち様リクエスト✿

ＮＯサイド

ある日、Aはクスクシエを訪れた。

映司「あ、Aちゃん。どうしたの？」

『ねっ、これあげる！揚げ饅頭作ってみたの！！』

映司は、Aが持っているビニール袋の中を覗き込む。

映司「美味しそう。ありがとう！」

『是非感想聞かせて！』

そう言うと、映司はもぐもぐと揚げ饅頭を頬張る。

映司「うん。凄く美味しい。アンク達にも食べさせてあげたいな」

その言葉を聞いてAは思った。

１人で食べてしまいたいって思ってくれる様な美味しい揚げ饅頭を作りたいと。

そしてそれから、毎日の様に映司に差し入れ(揚げ饅頭)を持って来た。

映司「何でこんなに俺にくれるの？」

『え？だって今美味しいの作ろうと練習してるんだもん！』

映司「今でもこんなに美味しいんだから、皆にもあげたら良いのに」

多分、今の映司の発言に悪意は１つも無い。

でもAはモヤモヤした。

『映司は…食べたくないの？』

映司「食べたいけど……こんなに美味しいのを広めないなんて勿体無いと思って……」

『……もう、良いよ』

Aはクスクシエを飛び出して家に帰る。

ポタポタと涙が零れ落ちた。

…ただ、映司に食べて欲しかっただけなのに。

そして暫くすると、玄関のチャイムが鳴る。

がちゃ、とドアを開けると映司が居た。

映司「ねぇ、俺何かしちゃったかな？したなら謝る。ごめんね」

Aは涙が止まらなかった。

『練習してる、って言ったけど、１番の目的は映司に食べて欲しかったんだよ。誰にもあげたくないって思える位美味しいの、食べて貰いたかった』

映司「そっか。ごめんね、気付いてあげられなくて」

『こっちこそ、ごめんね。毎日押し掛けて』

映司「ううん。全然嫌じゃ無いから大丈夫だよ。これから、出来るだけ１人で食べるよ」

『じゃあ私ももっと練習しないとだ！！』

その日から、クスクシエを訪れる回数も、揚げ饅頭の量も、何倍にも増えたらしい。

『今日も来たよ！！！』

映司「お腹いっぱいなのは仕方無くない…？」

『映司が言ったんだよ。食べてくれるって』

映司「そうでした」

映司は少しばかりAの家に行った事を後悔した。

リクエストありがとうございました✨