ヒーローと甘々。その１７。【仮面ライダー】【スーパー戦隊】

✿あと少しだけは。　ビルド【最上魁星】 ページ37

※ビルドの世界、融合前の話

✿☏様リクエスト✿

ＮＯサイド

ある日、最上魁星とAは研究室でエニグマの開発を進めていた。

これは最上がかなり前から練っている計画の物で、平行世界とこの世界を融合する事が出来る装置だ。

彼の目的は平行世界に居る自分と融合して力を手に入れる事。

因みにこの世界と平行世界が融合すれば、世界は消滅してしまう。

そして、この事をAは知っている。

では何故彼を手伝っているのか。

その答えは、彼の事を好いているからだ。

最上「私を手伝っても、消滅するだけだぞ？良いのか？」

『最上さんの力になれるなら。今更何言ってるんですか』

Aはそう言って優しく微笑んだ。

最上はそんな彼女の笑顔が嫌いじゃなかった。

好意だって。

ただ、何と無くこの計画に彼女の命まで巻き込んでしまう事に抵抗を感じている。

しかし、こんな気持ちをAは知らない。

設計図を見ながら只管エニグマの開発に力を注いでいる。

最上も、無性に力が入らないながら開発を進めた。

そして作業をしながら彼女に尋ねる。

最上「命を失うのを、辛い、怖いと思わないのか？しかも、他人の為に」

すると、Aは少し固まって、それから小さく身震いした。

『それは、怖い、です』

初めて聞いた、Aの不安そうな声だった。

『普通なら、こんな計画手伝わないと思います。でも………私は最上さんが好きだから、最上さんの為なら自分の命は惜しくないです』

そんなAの言葉を聞いて、最上は好奇心を覚えた。

………もしこの装置が起動しなかったら、なんて。

そして暫くして、エニグマは完成した。

最上「では、これよりエニグマの電源を入れる。世界の、私の、融合の時だ」

最上はそう言ってエニグマを起動する。

………が、エニグマは一切動かなかった。

Aも装置を叩いたり電源をカチカチと弄っている。

『動かない、ですね』

不思議そうな顔をするAを見て、最上は小さく笑い口を開く。

最上「はは、引っ掛かったな。実はこの装置には核となる部分を入れていない。つまり、完成していないのだ」

すると、Aは信じられない、と言う顔をした。

そんな愛らしい彼女を、最上はそっと抱き締める。

最上「済まない、君を、もう少し見て居たくなった」

『……じゃあ、もう少し付き合ってあげます』

Aはそう言って小さく笑みを零した。





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