ヒーローと甘々。その１１。【仮面ライダー】【スーパー戦隊】

✿苦手な先輩。　ドンブラザーズ【桃井タロウ】 ページ29

✿シャルル*°様リクエスト✿

Aサイド

今日はバイトの日かぁ……。

カレンダーを見てそんな事を思う。

私はシロクマ宅配便でバイトしている大学生だ。

バイト自体は結構楽しいし、受取人の人達と会話出来たりすればそれは凄く嬉しい。

じゃあ何で憂鬱なのか。

それは、私の先輩、桃井タロウさんにある。

桃井さんは私の先輩として、いつも一緒に配達する。

何せ私は新人だから。

それに、車の免許を持ってないから、桃井さんに同行して乗せて貰うのだ。

でも桃井さんの事は正直苦手だ。

何考えてるか全く分からないし、偉そうだったり、相手の気持ちを考えず何でもズバズバ言ってしまう。

新人だからとイイワケする訳では無いが、どうやら私の仕事振りは２５点らしい。

だからそんな桃井さんとお仕事するのはちょっと嫌。

でも行かなきゃ。

私はシロクマ宅配便へ行くと、制服に着替えて桃井さんの車に乗った。

そして、宅配を受け渡しに、マンションを訪れる。

チャイムを鳴らして出て来たのは中年の主婦らしき人。

主婦「遅いじゃない！！」

私は宅配希望時間を見た。

２時から４時。

現在４時前だ。

まだ過ぎてはいない。

『すみません』

主婦「てか貴方新人なのね！？もっとちゃんとしなさいよ。ハンコ取って来るわ」

主婦は私のネームプレートを見て怒鳴ると、ハンコを取りに奥へ戻る。

戻って来る足音がして、私は顔を上げた。

主婦「新人だからって甘いわよ！頭冷やしなさい！」

『…え』

その言葉と共に浴びせられた水。

主婦は荷物を奪い取ると、部屋へ引っ込んで行った。

ポタポタと髪の毛から雫が滴る。

私はびしょ濡れて桃井さんの元へ戻った。

桃井「大丈夫か？」

予想外にも、桃井さんは優しい声でそう言った。

私の髪の毛を手早く編み込むと、彼は言う。

桃井「これだと、乾き難いかも知れないが、雫は落ちないだろう？」

私は頷く。

桃井「俺の上着を貸してやる。脱げ」

『ええっ！？』

私は今半袖の制服だから脱いだら下着だ。

桃井は車を見た。

車の中で着替えろって事？

私は桃井さんから上着を受け取ると、車の中でそれを着る。

当たり前だけど、かなりぶかぶかだった。

着替え終わって、また配達が再開すると、桃井さんは言う。

桃井「迷惑客にも、よく堪えた。お疲れ」

その言葉に、私は少しドキリとする。

感じた事の無い熱に、私は袖をぎゅっと握った。



リクエストありがとうございました✨

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