_ 特撮学園 _＊three＊ (ページ2)

今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:15,020 hit

「バレンタイン」ページ2

千明はマーベラスを中庭の人気のないバラ園に連れてきた。

千明「あのさっ」

マーベラス「ん、」

千明が何かを言おうとすると、マーベラスはポケットからそれはもう原型がとどまっていないクッキーが入ってる袋を取り出した。

千明「…ぶはっ、原型ねぇじゃんっ」

マーベラス「うっせ、これでもましなほうだっ」

お世辞を言えないほどの形なのに、千明にはマーベラスの手作りって言うだけでとても嬉しかった。笑い過ぎたせいで出て来た涙を拭いてポケットから小さい箱を取り出した

千明「これ、マーベラスに似合うと思ってさ」

マーベラスは箱を受け取り開いた。
そこには銀色のドクロの形のブレスレットが入っていた。マーベラスはさっそく腕に付けた、サイズもぴったりで気に入ったのか小さく口角をあげて笑った。

マーベラス「お前にしてはセンス良いな？」

千明「当たり前だろっ？」

お互い笑っていると、チャイムがなった。
「あっ、次じいさんの授業だった！」と思い出したように慌てだした千明は「また後でな！」と言い残して走っていった。

マーベラス「…何時まで隠れてるんだよ、」

千明が居なくなってマーベラスは真顔に戻ると低い声でそう言った。するとニコニコ笑ってるバスコが出て来た。

バスコ「あ〜ぁ、あんな楽しそうに笑っちゃってさ」

マーベラス「…」

バスコ「…俺からもバレンタインだから何かあげようか？」

マーベラス「いらねぇよ」

あからさまに嫌な顔をするマーベラスを見て笑うバスコはマーベラスの手をとって腕ににハメてあるブレスレットをみつめた。

バスコ「…俺らはもう駄目なのかな」

マーベラス「…!!」

マーベラスですら聞いたことないバスコの寂しそうな声に驚いた。初めて見るバスコの悲しそうに歪んだ顔を見て、マーベラスはバスコを抱き締めた。

マーベラス「(何してんだ…、同情しちまうとか…) 」

バスコ「マベちゃんは本当にお人好しだね」

ありがと、と頭を撫でてからマーベラスを離すと振り返ること無く姿を消した。マーベラスは自分がした行為に戸惑っていた。

マーベラス「まじ…女々しい」

まだ忘れられないのか、とバスコの事を引きずってる自分が馬鹿馬鹿しく思えた。