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物珍しそうにキョロキョロと店内を見回している。
「空いているお席へどうぞ」、そう声をかけると、カウンターの真ん中の席に腰掛けた彼。メニュー表なんてものはこの店には存在しない。黒板に書かれた5種類のコーヒーと軽食だけがこのお店のメニューだ。
彼が着席したのを確認すると、おしぼりを出す。
「ご注文はお決まりですか？」そう尋ねると、「アイスコーヒーをお願いします」そう一言答えた。
コーヒーの種類も尋ね、アイスコーヒーの準備をする私。ふと彼の方を見ると、マスクと帽子を取っていた。さらに横顔をチラッと見ると、「やっぱりそうだ」そう小さい声で呟く。
私の記憶力はすごく、一度来てくださったお客様の顔を忘れることはない。彼は初めて来るお客さんだけれども、1度お店の閉店作業をしているときに訪ねてきた人だ。確か、その時もマスクとキャップをしていた。最近の流行なのかな〜なんて考えながら彼にアイスコーヒーを持っていく。
「以前、閉店作業中に来てくださいましたよね？」そう尋ねると思いっきり顔を上げて「覚えてくれているんですか？」と嬉しそうに笑顔を浮かべながらそう言った。
「ウチは常連さんばかりで新しいお客様かつお若い方は珍しいですからね」
「そうなんですね。僕ずっとここのお店入ってみたかったんですよ。空き時間に散歩をしていたら偶然見つけて、こんな場所にあるんだって驚いて、いつか行こうって心の中で決めていていたんです。」
そう堰を切ったように話し出す彼。
「ありがとうございます」そうお礼を言うと彼は続けて内装やら、コーヒーの味も何度も褒めてくれた。アイスコーヒーが大好きで毎日飲んでいるということも教えてくれた。
話している最中コロコロと変わる表情が可愛らしくて思わずこちらまで笑顔にさせてもらった。
話をひと段落終えて、後から来たお客様のコーヒーを準備していると、彼が「もしもし」そう小声で電話に出る声が聞こえてきた。
「スンチョリヒョン、今戻りますから。はい、いやその〜え〜っと散歩しているだけです。はい、すぐに戻ります。」
若そうに見えるのに仕事だろうか、大変だろうなと思いながらレジへと向かう。
彼はお会計を終え、またさっきのようにキャップを被ると「また来ますから」そう言って笑顔でお店のドアベルを鳴らして去っていった。
可愛らしい人だったな、そう彼の余韻にしばし浸っていた。
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ボッチャ(プロフ) - 千笑さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです♪頑張って更新しますね！ (2021年8月24日 23時) (
レス) id: be042a805d (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - すごく面白いです!本人の顔を見ているわけでもないのに簡単に想像できてしまって、終始口角が上がりっぱなしでした（笑）更新頑張ってください！！ (2021年8月24日 9時) (レス) id: 14dbb1d17f (このIDを非表示/違反報告)
ボッチャ(プロフ) - anzuさん» コメントありがとうございます。読んだ瞬間嬉しくて笑顔になりました。なんとか完走できるよう頑張りますので引き続き読んでくださると幸いです。 (2020年8月21日 4時) (レス) id: be042a805d (このIDを非表示/違反報告)
anzu(プロフ) - お話めちゃくちゃ好きです> <更新されるたびに嬉しくて飛びついて読んでます！笑 無理せずボッチャさんのペースで頑張ってください、素敵なお話をありがとうございます。 (2020年8月20日 0時) (レス) id: 2d5dcafa21 (このIDを非表示/違反報告)
ボッチャ(プロフ) - 〇〇さん» ありがとうございます。頑張って書きます！ (2020年8月18日 1時) (レス) id: be042a805d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ボッチャ | 作成日時：2020年7月30日 5時
