飴と狼くん。【馬狼照英】

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寝起き特有の掠れた声で挨拶を交わすと、Aがギュッとしがみついてきた。



「……あーー……もー恥ずかしくて顔見れない……」

「何だよ今更」

「だって………まさか…シてくれる…なんて思ってなかったし……」

「あ？嫌だったかよ」


そう訊ねると、ぶんぶんと首を横に振って否定した後、「……ううん。めっちゃ嬉しかった」と言って抱き着いてきた。

そんな仕草に堪らなく愛しさが込み上げてきて、衝動に任せてぎゅっと抱き締め返す。



「…身体、痛いとこ無いか？」

「うん、全然だいじょぶ。…優しくしてくれたから」



その言葉で昨夜の事がフラッシュバックして、気まずさに視線を逸らす。


「……これからたくさんしようね…って思ったけどさ、照英がプロのサッカー選手になったら難しいかなぁ……」


少し寂しげな様子で言うAの頭を撫でながら、俺は言った。



「寂しがらせるつもりはねぇよ。それに…いつだって、俺が帰って来たらお前が迎えてくれんだろ？」

「……！もちろん…当たり前じゃん」

「なら何も問題無ぇだろ。」

「そっ、か…………そうだよね」



…相変わらず、こいつはすぐ口元が緩みやがる。

気の抜けたようなニヤけた顔を眺めながら、やっぱり可愛いなと思った。


「……なに笑ってんだよ」

「え〜、だって嬉しいんだもん」



そう言って笑う彼女の笑顔は、俺にとって飴玉よりもずっと甘くて幸せなものだ。

…なんて、大分俺もAに染まってしまったようだ。

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