◆飴36個目 ページ37
「…………ふぁぁ…。」
馬狼が居ない学校生活。それは想像以上に退屈なもので、飴の消費量も以前より増えてしまった。
(今更何気にしてんの……もう諦めるって決めたのに。)
今日は休日だが特に用事も無く、外に出る気分でも無かったので、あたしはリビングのソファに座ってスマホを弄り始めた。
しばらくすると彩華から電話がかかってきて、不思議に思いながらも出てみる事にした。
『A!!テレビ見てる!?!』
「何…?どしたの急に……」
『いいから見て!!』
言われた通りリモコンを手に取り、テレビの電源を入れる。
……そして画面に映った光景にあたしは目を疑った。
チーム青い監獄 VS U-20日本代表というテロップと共に映し出されていたのは、サッカーの試合の中継。
「え……え…?馬狼……?」
『そう!!さっき最後の交代枠使って出てきた所で………』
するりとスマホが手から滑り落ちたが、目の前のテレビ画面に目を奪われたままあたしは動けなかった。
久しぶりに見る馬狼は、やっぱりカッコよくて。一瞬にして目を奪われてしまう。
見入っている内に試合は進んでいき、青い監獄チームの勝利で幕を閉じた。
呆然としていると、画面は試合後のインタビュー映像に切り替わる。
ラスト1点、奇跡みたいなゴールを決めた黒髪の男の子に、マイクを持ったリポーターが興奮気味にインタビューをしているが、あたしの耳には全然入ってこない。
…馬狼の事しか考えられない。
『……い、おーい!!Aーー!?聞こえてるー!?』
「あ……ごめん彩華…」
落としていたスマホから彩華の声が聞こえ、ようやく拾い上げる。
『ヤバかったね!!馬狼も1点決めてたじゃん!!』
そう言われ、さっきのゴールシーンを、覚えている限りの馬狼の一挙一動の全てを鮮明に思い出してしまい、頭を抱える。
「……ちょっとやめて、思い出させないでよ。カッコよすぎて頭おかしくなりそうなんだから」
『直接言ってあげたら喜ぶんじゃないかな?…ね、やっぱ諦めるなんて言わないでよ…2年も想い続けてきたAの気持ち、簡単に捨てて欲しくない』
「……彩華」
でも、こんな凄い試合見せられて、馬狼の存在が余計遠くに感じちゃって。あたしは一体これからどうすれば良いのだろう。
とりあえず飴を口に放り込んだけれど、全然味が分かんなくて泣きそうになった。
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39893 - 匿名希望さんのお話、他にも見てるんですが、全部いいお話ばかりです!いつもありがとうございます! (10月18日 22時) (レス) @page50 id: e8da3276d0 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 完結おめでとうございます。スウウウーーーーーッ……まっっじで最後まで最高でした!!!!!!ばち好みの作品で更新の度発狂していました…今までお疲れ様でしたこれからもがんばってください!!!!!!最高でした!! (7月20日 23時) (レス) @page50 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
あげ豆腐(プロフ) - 完結おめでとうございます!!こんなにもいい神作品を見させてくださって本当にありがとうございます!次回作も楽しみに待ってます😊 (7月20日 23時) (レス) @page50 id: 417163fa8e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望(プロフ) - ぱんぱーすくんさん» 完結しました!ありがとうございます!!😭🙏ツンデレキング、良いですよね…まず公式があざとい…🤝ほぼ自己満になっちゃってましたが、楽しんで頂けたなら良かったです……! (7月14日 9時) (レス) id: 733e983a69 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんぱーすくん - 完結おめでとうございます!馬狼くんのツンデレほんっと可愛いです!!!馬狼くんの夢小説かいてるひと少ないの素敵な作品かいてくださってありがとうございました🙇🏻♀️💦 (7月13日 23時) (レス) @page50 id: 3f84d09ede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年6月18日 1時