飴と狼くん。【馬狼照英】

◆飴33個目 ページ34

「なんなんだあの飴女………」


大量の飴を押し付けられ、仕方なくポケットに突っ込んだ。

今日彼女を飯に呼んだのは例の話をする為もあるが、単純に二人きりになりたかっただけだったりもする。


少し触れる度に顔を真っ赤にして、涙目になりながらも、こちらに好意を寄せている事がバレバレな態度。正直言って堪らない。

「…なんだこれ…プリン味ばっかりじゃねぇか。」

俺はサッカーで世界一のキングになる。その夢は変わらない。


…だが、名月も欲しくなった。あいつの事も手に入れたい。あいつを傍に置きたい。

残り少ない高校生活だが、まだ時間はある。
とりあえずは帰って来てからになるが、デートか何か誘ってやるか。

***

…それから数日後、馬狼は学校に来なくなった。

心配でメッセージを送ってみても、既読すらつかない。


「Aー……だいじょぶ？馬狼成分足りなくて死んじゃわない？」
「うるさいよ彩華。死なんし。」
「…なんか意外と普通な感じ？」

あの時ちゃんと話して貰えたおかげで、あたしは結構冷静で居られてる。それに、馬狼の夢は応援したい。


「…その内戻って来るでしょ。」

本日何個目かも分からない飴を口に放り込み、噛み砕いた。


その日のお昼休み、あたしはいつもの場所でいつもの4人とご飯を食べていた。

今日は菓子パン1つだけだったので皆より早く食べ終わってしまい、手持ち無沙汰になったあたしはスマホを弄り始めた…のだが、ふと気になるネットニュースを見つけて指を止める。


「ねぇみんな見てこれ」
「え、何々？」

あたしが差し出した画面を3人が覗き込む。


「なにこれ……青い監獄？」

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