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◆飴32個目 ページ33

結局、食事中はほとんど会話が無かった。


店を出て駅に向かう途中、突然強い風が吹いて思わず立ち止まる。


「……うわ最悪、髪ボサボサ…」

「は、みっともねぇな」

「みっともないって……」


相変わらず一言余計。

文句の一つでも言おうと振り返った瞬間、あたしは目を見開いた。



馬狼の男らしい手があたしの髪に触れ、優しく撫で付ける。

そして、手櫛で乱れた髪を直してくれたのだ。


「……ぁ……あ、りがと……?」

「別に。」


素っ気なく返事をした後、馬狼はさっさと前を歩いて行ってしまう。

顔が熱い。心臓の音も速い。

………どうしよう、嬉しい。



「……馬狼、今度二人でボーリングとか映画とか行きたい」

「……フン。考えてやってもいい。とりあえずは帰って来てからだけどな。」
「……!」


思わず表情筋が緩む。するとマスクを下ろされ、頬をむにっと摘まれた。

「何ニヤけてんだよ。」
「ふぁんへほないほ(何でもないよ)」
「変な笑い方すんじゃねぇ」

そのままぐいーっと引っ張られる。痛い。
そしてとても恥ずかしい。


「まひゅく!…マスクつける!」

「うるせぇ、俺の前でその間抜け面隠そうとすんじゃねぇ。全部包み隠さず見せやがれ」


ねぇ?何言っちゃってんの?この人?

少し前まではまともに話すらした事無かったのに。
ここ数日間での態度の変わりように驚きすぎて、もう何が何だか分からない。


「もう……もう…!!飴あげるからこれ以上ドキドキさせんなし!!」


鞄から大量の棒付き飴を取り出し、馬狼に押し付けるように渡す。
そのまま逃げるようにホームへ駆け込むと、運良く電車が来るところだった。

ドアが開くと同時に飛び乗ると、息を整えながら窓の外を見る。


……ドキドキしすぎて死ぬかと思った。

やっぱりあたしは、馬狼と居る時だけは、飴を食べなくても甘い気分になれるみたいだ。

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設定タグ:ブルーロック , 馬狼照英   
作品ジャンル:恋愛
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39893 - 匿名希望さんのお話、他にも見てるんですが、全部いいお話ばかりです!いつもありがとうございます! (10月18日 22時) (レス) @page50 id: e8da3276d0 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 完結おめでとうございます。スウウウーーーーーッ……まっっじで最後まで最高でした!!!!!!ばち好みの作品で更新の度発狂していました…今までお疲れ様でしたこれからもがんばってください!!!!!!最高でした!!  (7月20日 23時) (レス) @page50 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
あげ豆腐(プロフ) - 完結おめでとうございます!!こんなにもいい神作品を見させてくださって本当にありがとうございます!次回作も楽しみに待ってます😊 (7月20日 23時) (レス) @page50 id: 417163fa8e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望(プロフ) - ぱんぱーすくんさん» 完結しました!ありがとうございます!!😭🙏ツンデレキング、良いですよね…まず公式があざとい…🤝ほぼ自己満になっちゃってましたが、楽しんで頂けたなら良かったです……! (7月14日 9時) (レス) id: 733e983a69 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんぱーすくん - 完結おめでとうございます!馬狼くんのツンデレほんっと可愛いです!!!馬狼くんの夢小説かいてるひと少ないの素敵な作品かいてくださってありがとうございました🙇🏻‍♀️💦 (7月13日 23時) (レス) @page50 id: 3f84d09ede (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年6月18日 1時

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