◆飴31個目 ページ32
「サッカーの。日本フットボール連合直々の招集だとよ。良くわかんねぇが…合宿か何かあるのかもしれねぇな。」
馬狼がサッカーの強化指定選手……?
驚きで言葉が出てこない。確かに中学の頃からすごい選手だって噂になってた…なんて話は聞いた事あったけど。
…いや、それよりも。
「その話…何で…あたしに?」
一番の疑問をぶつけると、馬狼は一瞬固まってから、目を泳がせた。
「…紙には場所と日時くらいしか書いて無かったんだよ。何があるか分かんねぇだろ。」
「答えになってないんだけど…わざわざあたしと二人きりになる理由にはならないじゃん?」
すると馬狼はまた黙り込んでしまった。何か言いにくいことでもあるんだろうか。
暫くしてから、彼はようやく口を開く。
「………うっせ。ただの気まぐれだ。」
それだけ言うと、馬狼は再び押し黙ってしまった。
……気まぐれかぁ。
あたしはテーブルの下で拳を握る。
……ほーら、やっぱり期待なんてしちゃダメだったんだよ。
「……チッ…一回しか言わねぇからよく聞けよ。」
「…?」
突然の事に驚いていると、馬狼は少し照れ臭そうに頭を掻いた。
「俺はサッカーで世界一のキングになる。その夢の為にも今回のチャンスは逃さねぇ。
…ただ、何かあって連絡付かなくなる可能性もあるだろうが。
だから…その、お前にだけは伝えておきたかったんだよ、名月。……俺は他の下民共に興味ねぇ。」
そう言って、馬狼は真っ直ぐにあたしの目を見た。
「………それって」
「お待たせしました〜!」
店員さんの明るい声に遮られ、あたしの言葉は最後まで発される事は無かった。
「……何ボサっとしてんだ。俺は食うぞ。いただきます」
そう言って馬狼はナイフとフォークを手に取り、ステーキを切り分け始めた。
(…あたしにだけ………)
馬狼が少なからずあたしを特別視してくれているという事を知り、さっきまでの憂鬱な気分はどこかへと吹き飛んでしまった。
いつからあたしに興味があったのかとか、あたしのどんな所が気になるのかとか、聞きたいことは沢山あったけれど、今はやめておこう。
「…んーー……ヤバい…美味しすぎるんだけど…」
ハンバーグを口に運ぶと、肉汁が溢れ出る。
こんなにも幸せを感じたのは久々かもしれない。
「…ねぇ、話してくれて…ありがと。」
「……フン。大人しく応援しとけよ。」
「もち。…頑張ってね。」
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39893 - 匿名希望さんのお話、他にも見てるんですが、全部いいお話ばかりです!いつもありがとうございます! (10月18日 22時) (レス) @page50 id: e8da3276d0 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 完結おめでとうございます。スウウウーーーーーッ……まっっじで最後まで最高でした!!!!!!ばち好みの作品で更新の度発狂していました…今までお疲れ様でしたこれからもがんばってください!!!!!!最高でした!! (7月20日 23時) (レス) @page50 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
あげ豆腐(プロフ) - 完結おめでとうございます!!こんなにもいい神作品を見させてくださって本当にありがとうございます!次回作も楽しみに待ってます😊 (7月20日 23時) (レス) @page50 id: 417163fa8e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望(プロフ) - ぱんぱーすくんさん» 完結しました!ありがとうございます!!😭🙏ツンデレキング、良いですよね…まず公式があざとい…🤝ほぼ自己満になっちゃってましたが、楽しんで頂けたなら良かったです……! (7月14日 9時) (レス) id: 733e983a69 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんぱーすくん - 完結おめでとうございます!馬狼くんのツンデレほんっと可愛いです!!!馬狼くんの夢小説かいてるひと少ないの素敵な作品かいてくださってありがとうございました🙇🏻♀️💦 (7月13日 23時) (レス) @page50 id: 3f84d09ede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年6月18日 1時