飴と狼くん。【馬狼照英】

◆飴29個目 ページ30

「えっ、ちょっと、何」


わけも分からないまま、あたしはそのまま廊下まで連れ出された。


「どうし……」
「お前、今日の放課後開けとけ。」


「……は！？」


まって、どういうこと？本気で意味がわからない、


「えっと……馬狼部活あるんじゃないの？」
「あるから終わるまで待っとけって言ってんだよ。」
「何それ自分勝手すぎない？……まぁ良いけど。」
「分かればいい。じゃあな。」


そう言い残すと、馬狼はさっさと教室に戻っていってしまった。

何だろう、なんの用事かな……まさか、まさかだけど告白とかじゃないよね……？

期待半分不安半分で自分の席に戻ると、彩華達がニヤついた顔で出迎えてくれた。


「……何ニヤけてんの」
「いや〜？別にぃ？ねぇ？」
「うんうん！何も無いよ！ねぇ！」
「おあついね〜って」

……まずい。からかわれるやつじゃん。
というかあたしの恋心は彩華達にバレているらしかった。

「……ねぇ。あたし、そんな顔に出てた…？」
「いやまぁ結構分かりやすかったわ」
「マジか……」

恥ずかしすぎて顔を上げられない。


「で？何かあったんでしょ？吐いちゃいなよ〜」
「ウチらは何も聞いてない！何も見てない！」

「……分かった。話す。」


観念して全てを洗いざらい話すと、三人は顔を見合せてキャーキャーと騒ぎ出した。

「え、嘘でしょ！？一年の頃から……っていうか入学初日から惚れてんの！？」
「ちょ、彩華バカ！！声でかいって！！」
「あ、ごめんごめん……」

「でもさ、放課後誘ってくるって何なんだろうね？マジで告白されんじゃね？」


まさかそんな、と呟き机に伏せる。


こういうのは期待しない方が良いのだ。後々後悔するから。

……分かってるけど、どうしても淡い期待を抱いてしまう。

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