◆飴27個目 ページ28
「ありがとね馬狼、ご飯付き合ってくれて。」
「別に。俺も腹減ってたしな。」
食事を終えて店を出ると、外はすっかり暗くなっていた。
「駅まで送ってやる。」
「えっ……」
「何だよ」
「……ううん!何でも!行こ!」
本当はまだ一緒に居たかったから、嬉しかった。
……あたし、今日一日でかなり馬狼の事好きになってる気がする。
駅に着くまで会話は無かったけれど、隣を歩けるだけで幸せだった。
「…そういえばさ、馬狼って何であんなにボーリングうま………きゃっ!?」
足元が疎かになっていたあたしは、段差のある所に気付かずに躓いてしまった。
「あ?何してんだ、危ねぇだろ。」
「へ………っ」
馬狼が咄嗟に腕を掴んでくれたおかげで転ばずに済んだみたいだ。
…こんなに軽々と支えられると、彼が男だという事を強く意識してしまってダメだった。
大きな手で掴まれた二の腕がじわりじわりと熱を帯びていく。
「怪我は。」
「あ、えっと……うん、だいじょぶ……あ、あのさ、もう離してもらわないと困るというか……」
心臓がうるさい。馬狼にまで聞こえてしまいそうなくらいドキドキしていて少し怖くなる。
「………ああ…」
馬狼はパッと手を離すと、気まずそうな顔をした。
あたしは慌てて体勢を整えて、「じゃあまた学校で」と言って駅のホームへ駆け込んだ。
***
「……クソが」
電車に乗り込む名月の後ろ姿を見届けた後、一人呟いた。
「……調子狂うな。」
名月のあんな顔、初めて見た。
マスクを着けていても分かる程に真っ赤に染まり、まるで捕食者から逃れようとするかのように俺から目を逸らして。
……自分の胸の高鳴りが何なのか理解出来ないほど、俺はガキではない。
ピコンとスマホの通知音が聞こえ、見てみるとたった今別れたばかりのあいつからメッセージが送られて来ているようだった。
名月今日ありがと
名月{変なスタンプ}
名月{変なスタンプ}
…スタンプうるせぇんだよ。
こんな奴に……と思うと何だかイラつくな。
俺は熱を持った顔を冷ますように、夜風に当たりながら帰路についた。
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39893 - 匿名希望さんのお話、他にも見てるんですが、全部いいお話ばかりです!いつもありがとうございます! (10月18日 22時) (レス) @page50 id: e8da3276d0 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 完結おめでとうございます。スウウウーーーーーッ……まっっじで最後まで最高でした!!!!!!ばち好みの作品で更新の度発狂していました…今までお疲れ様でしたこれからもがんばってください!!!!!!最高でした!! (7月20日 23時) (レス) @page50 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
あげ豆腐(プロフ) - 完結おめでとうございます!!こんなにもいい神作品を見させてくださって本当にありがとうございます!次回作も楽しみに待ってます😊 (7月20日 23時) (レス) @page50 id: 417163fa8e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望(プロフ) - ぱんぱーすくんさん» 完結しました!ありがとうございます!!😭🙏ツンデレキング、良いですよね…まず公式があざとい…🤝ほぼ自己満になっちゃってましたが、楽しんで頂けたなら良かったです……! (7月14日 9時) (レス) id: 733e983a69 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんぱーすくん - 完結おめでとうございます!馬狼くんのツンデレほんっと可愛いです!!!馬狼くんの夢小説かいてるひと少ないの素敵な作品かいてくださってありがとうございました🙇🏻♀️💦 (7月13日 23時) (レス) @page50 id: 3f84d09ede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年6月18日 1時