飴と狼くん。【馬狼照英】

◆飴23個目 ページ24

それからカラオケで歌いまくって、ゲーセンで遊び尽くして、夕方になって解散になった。

「今日は楽しかったね！」
「うん！また皆で遊ぼう！」

彩華やクラスメイト達は満足げに話している。あたしもとても楽しい一日を過ごすことが出来た。

「Aごめん！寄りたいお店あるから先帰ってて！」
「マジ？分かった。じゃあね」

彩華は用事があるらしいので、一人で駅に向かう事にした。



…
………

「ね、俺らと遊ぼーよ！」
「ご飯だけ！」

「……行かないってば」

駅のホーム、ベンチに座って電車が来るのを待っていると、知らない男達が声を掛けてきた。

(……しつこいなぁ)

こういうの、前にもあったな。あの時は彩華が助けてくれたけど、今はいない。


「…ナンパとかマジでキモイから。他当たりなよ」

なら自分でなんとかするしかない。強い口調で拒絶すると、相手は少しムッとした表情を浮かべた。


「あのさぁ、俺らそこそこイケメンだろ？君も結構可愛いしさ、損はさせないと思うんだけど」
「そーそ、俺ら金持ってるし。」

「だーかーら、そういうのが無理なんだって。」

…どうしよう。周りの人達も見て見ぬふりだし。ぐるぐる思考を巡らせていると、腕を掴んで無理矢理立たされそうになった。


「ちょっ……やめてって！！」

必死に抵抗するものの、力が強くて振り解けない。このままでは本当に連れて行かれてしまうかもしれない。恐怖心が湧き上がり、涙が滲む。



「おい」

「…………え…」

聞き慣れた声に顔を上げると、そこには見知った姿があった。

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