飴と狼くん。【馬狼照英】

◆飴2個目 ページ3

「……〜〜〜が………〜〜〜になって…」


…あーめっちゃ退屈。

今は数学の授業中。黒板に色々書かれているけど、そんなものはどうでもいい。

チラリと右の方に目をやれば、馬狼の横顔が目に入る。

(鼻高い……唇薄い……肌綺麗……カッコイイ…)

惚れた欲目もあるんだろうけど、彼を構成する全てのパーツが完璧すぎる。

友人達は揃って王子様系男子しか勝たん！なんて言ってたけど、あたしは断然ワイルド系の方に惹かれてしまうタイプだ。


「……〜〜だからここの公式を使うわけだが……」


はーー…ほんとラッキー…。

いつもなら隣の席にうっさい男子が座っているのだが、今日は風邪で休みらしい。

つまりその隣の席に座っている馬狼の横顔を、授業そっちのけで見放題という訳だ。


「………じゃ、ここの問題…名月。解けるか？」

そう思った矢先。先生に当てられた。

「……え。あたしか……」

立ち上がり、先生が指している問題を凝視する。

「………んーと…x=3です」
「正解だ」

はぁ〜焦った。簡単な問題で良かった。
ふー…と息を吐きながら椅子に座る。



「………あっ」
やべ。消しゴム落ちてった……

…腕に当たって落ちた消しゴムが、一直線に馬狼の方へと転がっていく。

ちょ……え？え？どうしよ？取りに行く？でも椅子の真下にあるし…


「…………………。」

じっと馬狼の方を見つめてみるが、彼は授業に集中していてあたしの視線に気づく様子は無い。
ノートを取る横顔や手が男らしくてため息が漏れ出るだけだ。

…まぁ授業が終わった後で取りに行けば良いのだが、折角なら好きな人に拾ってもらいたいというのが乙女心というもの。


あたしはノートの端を破ると、そこにペンを走らせ、折りたたんで馬狼の机に向かって投げた。

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