飴と狼くん。【馬狼照英】

◆飴14個目 ページ15

(高校生にもなってこんな事する必要ってある？)


飴を舐めながら退屈な閉会式を乗り越えると、すぐに競技が始まる。

あたしの出るリレーは大トリ。つまり最後。なので適当に応援を飛ばしながら飴を舐めて過ごした。

そんなこんなで午前中の競技が終わり、昼休憩の時間になる。
あたし達はいつものメンバーで集まり昼食をとっていた。


「……A大丈夫？なんか元気無いように見えるけど」
「そりゃそうだよ……リレーの時間が近づいて来てんだから……」
「Aの勇姿！！動画に納めるからね！！」
「いややめろし……」

午後は騎馬戦と、最後の種目の学年別リレーがある。

あたしの出番は2番目で、1番目は陸上部の女子。3番目はバスケ部のうるさい男子。
アンカーは勿論、馬狼。

あいつは運動神経抜群だし、足も速い。当然1番速い人がアンカーを務めることになる。

正直あたしがまともに走りさえすれば負ける事は無いと思う。それくらい強い布陣。

憂鬱な気分でスマホを弄っていると昼休憩はあっという間に終わってしまい、騎馬戦が始まった。



「……ごめんあたしちょっとトイレ行くわ…」

「A逃げないでよ？」
「逃げないし」

柄にもなく緊張しているのかもしれない。

校内に入り、1階のトイレで用を足す。手を洗っている最中、この間の放課後の事を思い出した。
またトイレから出たら馬狼とばったり会えたりしないかな。


「………いやキモイなあたし」

我ながらドン引くわ。
勿論そんなミラクルは起きることも無く、トイレを出た先は無人。

はいはい知ってた知ってた。

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