◆飴12個目 ページ13
あたし達4人は放課後になるとグラウンドに向かい、リレーの練習をするようになった。
「名月ほんと速いな、これウチの優勝で決まりだろ!」
「Aちゃんが立候補してくれて良かったよ〜」
「あはは……」
二人からの賞賛の声に苦笑いする。
馬狼目的でリレーメンバーになったなんて口が裂けても言えない。
今日も練習が終わり解散となった。いつもは彩華達が待っていてくれるのだが、今日は皆用事があるらしく一人で帰らなければならない。
周りの生徒達が荷物を持って帰って行く中、あたしはトイレに寄るため校舎の中へと戻った。
用を足し、手を洗ってトイレを出る。するとそこには、思いもよらぬ人物の姿があった。
「あ……馬狼だ」
「……何だ飴女」
うそ、ラッキーすぎる………
いつもリレーの練習が終わると、すぐサッカーの練習に行っちゃうのに。
「なんでこんなとこ居んの?」
「トイレ。」
「一緒じゃん」
まさか偶然会えるとは思っていなかった。
「……お前、あんな運動出来んなら体育の授業もちゃんとやれば良いだろ。」
「……疲れるじゃん?リレーなら走る距離もそんな長くないし、やってもいいかなーって。」
「は、体力ねぇな。」
「馬狼が体力ありすぎるだけじゃないの?」
他愛もない会話が続く。
こうしているだけで、幸せを感じる。
「……そだ、飴あげる。」
あたしはジャージのポケットから棒付きの飴を探り当て、差し出した。
馬狼は怪しげな視線を送ってくる。
「またそれかよ……飽きねえのか。」
馬狼は興味無さげに飴を受け取ると、ポケットにしまった。
「飽きない飽きない。……馬狼は何か好きなお菓子無いの?」
「あ?」
「いや、毎日食べちゃうくらい好きなお菓子。無い?」
「……プリンだ。でもいくら好きでも毎日は食わねぇだろ。」
「プリン」
予想外の答え。プリン?馬狼ってプリン好きなの?嘘でしょ?ちょっと待って可愛すぎる、何それ。
「……んだよ」
「いや……可愛いなって思って」
気付いたら思っていたことをそのまま口にしていた。
ヤバい、怒られそう。
恐る恐る彼を見ると、少し照れくさそうな顔をしていた。
「……チッ……もう行く。無駄な時間使っちまった」
「ごめんってば。……じゃーね馬狼、また明日」
不機嫌さを隠そうとせず早歩きで去っていく馬狼を見送る。
何あれ、反則すぎるんですけど……。
あたしは彼の後ろ姿が見えなくなるまで見つめていた。
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39893 - 匿名希望さんのお話、他にも見てるんですが、全部いいお話ばかりです!いつもありがとうございます! (10月18日 22時) (レス) @page50 id: e8da3276d0 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 完結おめでとうございます。スウウウーーーーーッ……まっっじで最後まで最高でした!!!!!!ばち好みの作品で更新の度発狂していました…今までお疲れ様でしたこれからもがんばってください!!!!!!最高でした!! (7月20日 23時) (レス) @page50 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
あげ豆腐(プロフ) - 完結おめでとうございます!!こんなにもいい神作品を見させてくださって本当にありがとうございます!次回作も楽しみに待ってます😊 (7月20日 23時) (レス) @page50 id: 417163fa8e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望(プロフ) - ぱんぱーすくんさん» 完結しました!ありがとうございます!!😭🙏ツンデレキング、良いですよね…まず公式があざとい…🤝ほぼ自己満になっちゃってましたが、楽しんで頂けたなら良かったです……! (7月14日 9時) (レス) id: 733e983a69 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんぱーすくん - 完結おめでとうございます!馬狼くんのツンデレほんっと可愛いです!!!馬狼くんの夢小説かいてるひと少ないの素敵な作品かいてくださってありがとうございました🙇🏻♀️💦 (7月13日 23時) (レス) @page50 id: 3f84d09ede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年6月18日 1時