オオカミくんと子羊ちゃん【伍代直樹】

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難破side




『またｧ？』





「陣内をぶっ飛ばしたって言うのが今、市松で頭はってる江本と言うやつの耳に入ったらしい。それでさっき江本に呼ばれて特服を連れて来いって俺に言い出したんだ。」






『はっ、んな事かよ。しょうがないから俺から直接行ってやるよ。タイマンなら買ってやるぜ』






江本だろうが知らねぇが、そっちがその気なら俺だって負けてらんねぇ。
今にでも市松に向かってやろうと思った。






「…まぁそう言うと思ったよ。
だがな、相手は何人も半殺しにして今年少年院から釈放されたら奴だ。今はとりあえず大人しくしとけって。」






『えーでもよぉ…「わかったな？」』






「あと、外出る時むやみに特服着るなよ」






『はいはい』





「絶対に見つかるなよ。」





伍代が忠告をしてくるなんて珍しい。
まっ、最上のようにぶっ飛ばせばいい話だ。
どんな野郎でも、絶対に勝ってみせる。なんて思っているが、今回はなんだか嫌な予感がした。
俺以外のやつが巻き込まれないといいが。






『Aにも言っておかねぇとな。
市松の奴に俺の事聞かれても知らないって言えよって。』






「そうだな。
まぁとりあえず市松の奴に絡まれたらすぐに俺を呼べよ。」






『おう』







空を見上げると、不吉な予感が暗い雲のように地平線に姿を見せていた。

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