傷だらけ二年生が友人に囲まれるまで (ページ7)

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リドルは蹲る友人に慌てて駆け寄った
背を丸めてテルは震えている
小さな「う"う」という呻き声だけを漏らしていた

「テル、何があったんだい！？大丈夫かい！？」
「ひ、やだ、いたい、いたいの嫌、やめて、やだ」
「テ、テル…？」

テルは耳を抑えて周りのすべての音を遮断したままで返事をしない
返ってくるのは怯えた声の呟きだけ
困惑するリドルの後ろからは誰かが走ってくる音が聞こえて来た

「あ、寮長ー！来てくれて良かったっす！」
「ローズハート寮長！たぶんこいつが騒ぎの犯人です！」

焦った顔のエースとデュースが走ってくる
デュースの手には意識が無いのか伸びている生徒が引きずられてきた
間に入ったトレイに2人が説明を始める
と言っても2人も途中から来たそうで全容は知らないという
オンボロ寮に遊びに行くからと玄関に向かっていたら騒ぎが起きていたらしい
その場から走り去っていく上級生に他の生徒が「そいつ捕まえろ！」と叫んだ
だから足の速い2人が追いかけて捕らえた
気絶をしているのは捕まえた際にタックルをして頭を打ち付けたからだそうだ

「騒ぎ大きくしてすみません！」
「デュ、デュースだけが悪い訳じゃないんで！」
「落ち着いて2人とも、オレたち怒んないから！」
「ああ、むしろよくやってくれた。後はこっちが引き継ぐからな」

叱られるかと慌てる一年生コンビをケイトとトレイが宥める
とりあえず捕まえた生徒はトレイが預かった
ケイトは「ちょっと最初から見てた人ー？」と人だかりに聞き込みを始める
一方リドルはひたすらテルの背を撫でて落ち着かせようとしていた
ガタガタ震えている背はなかなか収まらない
先ほどから聞こえている呼吸も「ひ、ひゅ」とおかしな音になっている

「テル、テル、僕だよ。落ち着いて、息をしよう」
「ひゅ、は、やだ、いたい、痛いのやだ、こわい、こわい」
「痛いことなんて無いよ、テル、僕の方を見るんだ、ほら」

自分がパニックになる訳にはいかない
リドルは自分を無理やりに落ち着かせてテルに声をかける
ゆらりとその顔が上がった
リドルを映すその目は焦点が合わずぐらぐら揺れている

「り、どる、くん」
「そう、そうだよ、ちゃんと分かるね、落ち着いて」

相変わらずひゅうひゅうと荒い呼吸をするテルを見てリドルの胸が痛む
何があればこんなに錯乱する事になるのだろうか
犯人らしき生徒を別室に連れて行ったトレイの

「場所を移さないか」

の声に頷いてリドルはテルを支えて立ち上がらせた