傷だらけ二年生が友人に囲まれるまで (ページ6)

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『トラブルは起こさないが就寝時間を守らない』
『部屋ではほとんど勉強している』
『包帯を取った姿は誰も見たことが無い』

リドルがトレイとケイトに任せたテルについての聞き込み
得た情報をまとめればこのようなものだった
少しでも友人の事を知るために聞いたのに謎が深まったような気がする
ふと思い立ったトレイの

「部活なんかは参考にならないか？」

の言葉でテルが所属するボードゲーム部の部員に聞くという流れにもなった
しかしアズールに聞いてみれば

「あまりいらっしゃらないので分かりませんね…」

との事だった
そもそも部活動に来る事が週に一度あれば良い程度らしい
他の部活なら顧問や部長から注意を受けているだろう
だがボードゲーム部はとりあえずで入った幽霊部員が多い
むしろ週一でも来ているなら問題ないのだろう
部長のイデアなら、との案も出た
それもその本人を見かけること自体がレアなので諦めている
談話室で出くわしたリドルたち3人はここが限界だと結論付けた

「そもそも僕が気にしすぎなのかも知れないね、彼について」
「俺も心配にはなるさ、あんな包帯だらけじゃ仕方ない」
「他の友達とか居ないかな？テルくんって人見知りする感じ？」
「僕が言うのも何だけれど交友関係は狭そうだね、大抵一人だ」
「そうか…ん、何だ、外か？」

トレイの言葉にケイトもリドルも会話を止める
よく耳を澄ましてみれば談話室の外から何か聞こえた
廊下で誰かが話しているだけのようには聞こえない
大勢の声、それも何か起きたのかざわめいている
寮内で騒ぎかも知れない
リドルは急いで談話室のドアを開け、廊下を覗き見た

「何かあったのかい？」
「あ、り、寮長！玄関の方で騒ぎがあったみたいなんです！」
「リドル寮長！うちの寮生と他寮生が揉めてます！」
「何かうちの3年が突っかかったみたいで…」

リドルが顔を出した瞬間、廊下に居た生徒が次々に報告してきた
ハーツラビュル寮の３年生が他寮の生徒に絡んで揉めている
大まかな騒ぎの原因はそれらしい
自寮の生徒が不手際を起こしていると聞けば黙っている訳にはいかない

「トレイ、ケイト。向かうよ」
「ああ」
「もちろん」

廊下に出て来ていた2人に声をかけて急ぎ足で玄関まで向かう
この寮に居ておきながらよくもまあ…と呆れつつ階段の踊り場に着いた
人だかりができているのを見つけて

「何の騒ぎだい」

と声を出す
さっと割れた人だかりの中心
そこに居たのは床で蹲ったよく知る友人だった