傷だらけ二年生が友人に囲まれるまで (ページ24)

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「テル？」
「ひ」

リドルの声に毛布の塊が引きつった声を出して身を縮める
丸まったままじゃ傷にも良くない
リドルは顔をしかめて近づく

「テル、僕だよ、リドルだ。分かるかい？」
「やだ、やだ！！痛いのやだあ！！」
「っ！テル！」

毛布ごとベットから落ちたテルはがたがた震えて叫ぶ
リドルが慌てて駆け寄るとベッドの下の床でうずくまっていた
頭があるであろう辺りを探って顔を出させる
その顔は目を見開いて怯えていた

「テル、大丈夫、落ち着いて、誰も痛い事なんてしないよ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい！熱いのやめて痛いのやだ！！」
「大丈夫、大丈夫だよ、ほら、怖くないから」

とっさに毛布ごと抱きしめて背中をさすった
心配そうに覗くヴィルとルークを横目にただ声をかける
しばらく「う"う"…」「や、あ"」と呻いていた
幸いと言うべきか暴れることは無い
毛布を掴んで頭を隠しながら震えるだけだった
喉が痛いのかげほげほと咳込みながら叫ぶ
息もやかんのようなひゅーひゅーとした音を発している
その間そばに座ったリドルは呼吸だけでもさせようと努力した
苦労のかいあってかだんだんとおかしな呼吸音が落ち着いてくる

「は、ひゅ、だ、だれ、だれ？いたい事する？」
「しないよ、ほら僕だ、ちゃんと見て」
「う、あ"…？」

テルの顔がゆっくりと上がる
ゆらゆら揺れて焦点の合わない目がリドルを映した

「り、どる、くん？」
「ああ、そう、そうだよテル。大丈夫かい？」
「りどるくん、りどるくん、あぶない、いたい事されるよ、かくれなきゃ」
「落ち着いて、誰もそんなことしないから、大丈夫だからね」

自分が居る場所が分からないらしい
リドルはテルの隣に座る
ぐすぐすと泣き出したテルにただ「大丈夫」と言うしかない

「ぐす、こわい、痛い、母様と父様がくる、こわい」
「来ないよ、ここは安全だ。ヴィル先輩とルーク先輩もいるよ」
「やだ、やだ、ぐす、もうやだ、いたい」

リドルはハンカチでテルの痣だらけの顔を拭う
テルは普段の感情の起伏は少ない
気は強くないが泣き虫でも無い
それにそんな様子は無いとはいえ一応はこの学校に居る、ヴィランの才がある男だ
リドルの目から見ると分からないが彼にも何かしらヴィランの素質があるのだろう
それがここまで弱り怯えるようになるなんて
一体何をどうしたらこんなに追い詰められるのだろうか
既に対処した後にも関わらずテルの両親の顔を思い出して憤りが募った