【太宰治】一生逆らえない

よん ページ9

中「おい、探偵社。もう一つ忠告だ」







画面越しに、素敵帽子くんが言葉を放つ。
先程の"囮"などとは打って変わって、殺意が込められたそれに画面越しの二人も息を呑むのがわかる。








中「うちのを、"元通り"返せよ」






それだけだ、なんて呟いて帰る素敵帽子くん。

ある程度予想はついていたけど、やっぱりか







そのまま席を立ち、元お菓子倉庫を開ける。
中には寝台が一つあり、その上に女の子が寝ていた。


ポートマフィア構成員、

多分、元太宰の部下とかだろう。
それよりも…





江「…酷いな、これは」





身体中に包帯が巻いてあり、所々血が滲んでいる。
骨も折れているみたいだ。

与謝野さんが何回か「治療は必要かい？」なんて聞いていたのに、




今日の作戦も飄々としていた彼奴を思い出す。
少し不貞腐れた顔で「あまり沢山は手に入れれなかったんです、いやぁ悔しぃ〜」なんて言っていた。


彼女は何故ここまで耐えられたか、答えは一つ







そっと、顔色の悪い彼女の頬に手を伸ばす。
少し身体が震えたと思うと身動ぎをする。



江「"慣れている"」





「…まったく！太宰もひどいことするもんだ！！！」






僕の声が思ったより響いたのか、目の前の彼女の瞳がゆっくりと開く。
黒く濁り虚ろに開かれた彼女の瞳は、僕の姿を捉えると「ひ、」なんて情けない声を出す。


そのまま誤りながら震えるもんだから、少し狂う。






素敵帽子くん、いや、あの捕虜も言っていたな。






江「"元通り"は無理そうだ。」








・














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中「うちのを、"元通り"返せよ。たとえ、」






尾「あの子を必ず"元通り"返すのじゃぞ。もし、」

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