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「起きて、ねぇ、いつまで寝てるの?」
幼い声が聞こえて、ゆっくりと脳が覚醒する。
何だかいつもより五感が鈍い気がする、。寝ぼけているのかな。チュンチュン聞こえる小鳥の囀りに、窓から差しているであろう眩しい日差し。
日差しが余りにも眩しすぎて無意識に眉間に皺が寄った。
「Aってば、俺も怒られるじゃん」
、、、日差し?、今何時?
違和感を感じるや否や、バッと飛び起きる。
目の前に広がっていたのは、見慣れない景色だった。
、、いや、知っている。私はこの景色を嫌と言う程覚えている。
『、、有り得ない。』
「やっと起きた。皆もう起きてるよ?」
そう言えば先程から私に喋りかけていた声の主が居たことを思い出し、其方に視線を移動する。
幼い少年は私と目が合うと、ニコリと微笑み「おはよ」と言葉を口にした。
『っっな、!!!
隊長!?クスリの副作用ですか!?』
勢い良く彼の肩を掴むと、彼は目を丸くした。
あれ程に強い彼のことである。副作用が出ていないことの方がおかしかったのだ。いや、実は出ていたけれど私達には内緒にしていたのかもしれない。
「ちょ、、A、どうしたの?昨日のごっこ遊びの続き?」
『、、、いや、え、?』
「もー、寝ぼけるのもいいけど、早く行くよ」
そう言いながら私の腕を引っ張る彼。少年の姿で私を引っ張れる訳が無いと思っていたが、いとも容易く私は引き上げられた。
そのまま自分の足で立ち上がる。
、、、嘘だ。目の前の彼は間違いなく少年の姿の筈である。なのに、何故?
、何故私は彼と同じ目線の高さなの、?
動揺しつつ視線を床に落とすと、その床の近さに驚愕した。
信じられない、。
信じられないが、信じる他無いその事実に混乱する。
『そ、そらる、?』
「ん?どうしたの?また怖い夢?」
コテンと首を傾げる彼は間違いなく昔の隊長の様だ。
不可思議な現象に、理解することなど出来る筈もなく、考えることを放棄した。
『あー、、ある意味今が夢、みたいな、、はは』
「??
あ、やっぱり怖い夢見たんでしょ。また現実と夢の区別付かなくなってるんだ、大丈夫、今は夢じゃないよ。」
そう言いながらそっと腕を引かれて彼の腕の中に収められる。ゆっくり頭を撫でられて、一定のリズムを刻むその手が懐かしくて、安心を覚えると同時にポロリと涙が零れた。
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vt4966cjdf(プロフ) - すごく面白いです!!更新頑張ってください😤 (5月26日 21時) (レス) @page15 id: 48ea68b868 (このIDを非表示/違反報告)
べあ - 吸血鬼になるとは想像つかなかったです…展開が読めなくて毎話わくわくしながら読んでます! (2023年1月20日 9時) (レス) @page15 id: b2e7b104f0 (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - わたあめさん» ありがとうございます!そのお言葉だけで励みになります。ゆっくり更新ですがよろしくお願いします、! (2023年1月16日 0時) (レス) @page14 id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - どのお話もめっちゃ面白くて毎回楽しく読ませていただいています...!これからも更新頑張ってください!! (2023年1月14日 10時) (レス) @page13 id: da5fff30a0 (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - べあさん» そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます! (2022年12月4日 9時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とこ | 作成日時:2022年9月21日 23時