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まふまふside
「は、、何言って、」
目の前の吸血鬼が口にした言葉は信じ難いものだった。
いや、信じ難いんじゃなくて、信じたくないんだ。だって、僕等は吸血鬼を討伐する為の部隊で、一匹残らず殲滅して始めて仕事が終わる。
、、、つまり、彼女のことも討伐対象になるということだ、。
『まふ、私から離れて、』
「それは聞けない」
『ちが、うの、、わかるでしょ、』
何処か様子が変な彼女に顔を向けると、歯を食いしばり苦しそうな呼吸を繰り返していた。
そして、徐々に伸びている角。彼女が吸血鬼化したあの時と同じだ。
つまり、暴走?
「喉乾くでしょ?吸血鬼になりたての時は特に身体が血液を欲するし、加えてAは瀕死の状態だったからね〜。苦しいくらい吸血衝動が起こってる筈だよ。」
確かに僕も吸血鬼化の最中に体力を消耗すると、喉が渇く経験がある。現に今日の戦闘中だって彼女の血を飲んだ訳だし、。
でも僕は決まっていつもAに対してのみ吸血衝動が激しくなって、制御が効かなくなる。他にも仲間はいるし、人間だって沢山いるというのに。勿論、他の人の血も極限状態になれば飲むと思う。だがこんなにも飲みたいと強く思うのは彼女だけなのだ。
Aは初めて吸血鬼化した時に、センラさんに対しても吸血衝動を起こしていたから特定の人物に対してという訳では無さそうだ。
、、僕だけ可笑しいのだろうか。
それとも、僕が彼女に対して特別な感情を抱いているから?
「どうする?人間の血を飲むのが嫌だって言うなら、俺の血飲ませてあげるよ〜」
「誰がお前の血なんか飲ませるか、、A?僕の血飲んでいいよ、」
彼女がそうしてくれたように、手首を口元まで運ぶ。
小さな口から覗くギラリと光る牙を見て、恐怖心とかは全く無くて早く飲んで欲しいと、ただそう思った。
彼女が初めて血を吸うのは僕がいい。
僕の血を飲んで欲しい。
でも、当の本人は僕の願望なんて知る由もなく、その熱い手で僕の手を抑えた。
『、、や、めて、るすの、のむから、、』
「な、、なんで、」
「Aは賢いね〜、君らがやってる吸血鬼ごっこと違って、本物の吸血鬼は一度人間の味を覚えたら最後なんよ、」
此奴の言葉なんか耳を貸したくない。
でも、その先の言葉だけは聞かなくてはいけないと思った。
「その味の虜になって、人間が死のうが関係なく血を貪る化け物になるんだ」
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vt4966cjdf(プロフ) - すごく面白いです!!更新頑張ってください😤 (5月26日 21時) (レス) @page15 id: 48ea68b868 (このIDを非表示/違反報告)
べあ - 吸血鬼になるとは想像つかなかったです…展開が読めなくて毎話わくわくしながら読んでます! (2023年1月20日 9時) (レス) @page15 id: b2e7b104f0 (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - わたあめさん» ありがとうございます!そのお言葉だけで励みになります。ゆっくり更新ですがよろしくお願いします、! (2023年1月16日 0時) (レス) @page14 id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - どのお話もめっちゃ面白くて毎回楽しく読ませていただいています...!これからも更新頑張ってください!! (2023年1月14日 10時) (レス) @page13 id: da5fff30a0 (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - べあさん» そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます! (2022年12月4日 9時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とこ | 作成日時:2022年9月21日 23時