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ヒビが入った状態のすーちゃんが、自我を持った様にnqrseの剣を跳ね返した。そして私の血を飲む。壊れていた刃が元通りになり、刀身自体も大きくなった。分裂する節々一つ一つに返しの様なものも付いている。
私にはすーちゃんが変形するまでの時間が長く感じた。だけど、きっと一瞬の出来事だったと思う。現に目の前で、弾き飛ばされた反動で可愛い吸血鬼が未だ体制を崩している。
そんな吸血鬼に向かって グンっと大きく振りかぶれば、伸びた刀身がnqrseの左腕に巻きついた。そのまま自身の方へと引き戻す。
吸血鬼の左腕が肩から落ちた。nqrseの足元に転がる腕を見て、やっと自分のレベルアップを感じる。素直に嬉しかった。
私が吸血鬼相手にダメージを与えることが出来たのだ。それも、あのnqrseに。嬉しくなるなと言う方が無理難題である。
今がチャンスだと言わんばかりにまふと私は追い討ちで攻撃しようとする。2人とも武器を強く握り締め、アイツに一撃を食らわす、、はずだった。
目の前にいた筈の吸血鬼が姿を消したのだ。否、私たちの背後に移動していた。
そして、腕に走る痛み。咄嗟に腕を抑えてしまう。それは隣りの彼も同じだった。生暖かいモノを手の平で感じながら振り返る。
そこには鋭い目付きをした吸血鬼がいた。ゾクッと悪寒が走る。さっきまで優勢だったのが嘘みたいだ。
殺される。
そう思った。
『っ、、すーちゃんっ、!!』
ぐわんっと勝手に伸びるスカイブルーの刀身が、目の前の化物の攻撃を受け止めた。
今だけは目の前の此奴を、本気で化物だと、そう思った。
初めて此奴に遭った時のことがフラッシュバックの様に脳裏に映し出される。
、、ダメだ、勝てない、。
そんな弱気な私の視界に入り込んで来たのは、綺麗な白い髪だった。ハッとして彼に視線を移すと、nqrseに負けないくらいの殺気を含んだ紅い瞳を鋭く光らせていた。
吸血鬼は私への攻撃を止め、彼に剣先を向ける。
圧倒された。
殺意と殺意がぶつかるところを初めて目の当たりにしたのだ。
鉄同士のぶつかる音がして、nqrseとまふが交差する。
お互いに背中を向けて立っている2つの影。
その静寂を破ったのは、nqrseだった。
ドサっと、膝を着く吸血鬼。ごふっと口から血を吐き出した。
やったの、?そう思ったのも束の間。
人が倒れる音がして、
そこにはさっきまで立っていた彼が、倒れていた。
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とこ(プロフ) - こゆきさん» 嬉しいです、ありがとうございます!遅くなり申し訳ないです、続編もよろしくお願いします。 (2022年9月22日 11時) (レス) @page50 id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - ばななさん» わざわざログインして頂き、嬉しいです、!ありがとうございます。遅くなりましたが、続編もよろしくお願いします。 (2022年9月22日 10時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます、お待たせしてすみませんでした、。 (2022年9月22日 10時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 続編待ってます… (2022年8月6日 23時) (レス) @page50 id: b05dbfc063 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めちゃくちゃ面白い!!!普通にハマったw (2022年4月27日 17時) (レス) @page50 id: 405c20d148 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とこ | 作成日時:2021年6月6日 17時