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私に背を向けて立っている隊長の背中がやけに大きく見えた。彼の背中によって敵が私の視界から外れる。
「お前らしくないぞ、そんな感情任せの攻撃なんて。」
『っ、、すみません、』
何であんなにカッとしたのか、なんて、その理由は分かっていた。
イラついたのはめいちゃんの言葉にだけではない。上手くできない自分自身に1番イラついたのだ。
とは言っても、あんな感情任せの攻撃、死にに行くようなモノである。隊長が来てくれて良かった。
「あれー、助っ人来るの早くなーい?」
「お前等がAを欲しがっている理由は分かった。でもAは渡さない。」
「え!?るったんしか知らない理由を知ってんの!?何で何で?俺にも教えてー!」
隊長の言葉に急に目をキラキラさせて知りたい知りたいと前のめりになっている此奴を見る限り、どうやら理由を知らされていないらしい。
確かにnqrseと初めて敵対した時に、彼奴も理由は知らないと言っていたのを思い出す。
向こうのボスは情報を共有しないのだろうか?
会ったこともないのでどんな奴なのかも分かりはしないけれど。
「お前等のトップは余程自分の部下を信用してないみたいだな」
「嫌な言い方するね、流石の俺でも少しムッとしたー!」
ぷんすこと怒り出す吸血鬼を見て、仲間がバカにされているんだからもっと本気で怒っていいのに、と思った。
右手に握っている武器にそっと声を掛ける。
『もっと血飲んでいいよ、すーちゃん、』
そう言うとまた口が現れて、さっきも血を吸った手首に牙を立てた。ジュルジュルと吸って、変形した大鎌はさっきと形が違う。そして禍々しい雰囲気を纏っていた。
本当に強くなっているのかは、私には正直のところ分からない。すーちゃんを信じることしかできないのだ。
隊長の背中から飛び出して、両手で大鎌を振り下ろす。
めいちゃんは急いで距離を取るが、確かに手応えがあった。離れた吸血鬼を見やると、咄嗟に腕で庇ったのか腕から血が流れている。
さっきまでは防がれていた攻撃が初めて当たったのだ。
「いったーい!」
『次も当てるから』
「うわ、また助っ人?」
その言葉に振り返ると、雑魚を片したのか、まふと天月くんの姿があった。
吸血鬼側は今回1匹のみ。それに対して此方は4人だ。
こんなにも有利な状況で負ける訳にはいかないと、此処にいる4人全員が思ったに違いない。
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とこ(プロフ) - こゆきさん» 嬉しいです、ありがとうございます!遅くなり申し訳ないです、続編もよろしくお願いします。 (2022年9月22日 11時) (レス) @page50 id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - ばななさん» わざわざログインして頂き、嬉しいです、!ありがとうございます。遅くなりましたが、続編もよろしくお願いします。 (2022年9月22日 10時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます、お待たせしてすみませんでした、。 (2022年9月22日 10時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 続編待ってます… (2022年8月6日 23時) (レス) @page50 id: b05dbfc063 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めちゃくちゃ面白い!!!普通にハマったw (2022年4月27日 17時) (レス) @page50 id: 405c20d148 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とこ | 作成日時:2021年6月6日 17時