▼意思疎通 ページ18
・
パチリと目を開けると窓の外は見えなくなっていた。つまり今は昼間なのだろう。太陽の登る時間、私達の寝るべき時間だ。太陽の光が入ってこないように雨戸の様な物が窓を覆っている。陽の光で寝られなかったら意味が無いからだ。
こんな時間に目が覚めるなんて今まで無かったから凄く変な感じがする。寝たいのに、変に目が冴えてしまって寝られなくなった。
あれから数日経って、回復した私は一昨日から自室に戻された。この2日間は体力を戻す為と、un:cさんから貰った武器を使いこなす為に鍛錬ばかりしていた。体力はすぐに戻ったが、武器の方は未だ剣にしか変形させることが出来ない。
血液を多く与えても大きい剣になるだけだ。思ったよりも使いこなすのは難しいらしい。
まふとは今まで通り朝は一緒に食堂まで行くようになった。何処かよそよそしいのは否めないが、これが私の望んだ形なのだろう。
隊長が私の敬語無しに喜んでいた気持ちが今なら少しだけ分かる。対応を変えられた側がこんな気持ちになるなんて知らなかった。
そんなことを考えていると窓を覆っていた物が徐々に上に上がっていき、夕陽が部屋に差し込んできた。そして聞こえるジリリリリリという音。
ベッドから降りると、フラっとよろけてしまう。慌てて壁に手をついた。
最近立ちくらみが多い。と言うのも、あの武器を使い過ぎているからだと思う。
パパっと準備を済ませて部屋を出ると、隣の部屋から出てくるまふ。彼の白い肌に相変わらずの隈が目立つ。
「おはよう」
『おはよ』
向かいの部屋の坂田を起こして、2人で食堂へと向かう。挨拶しながら食堂に入り席に着く。前までと違うのは、私の横に天月くんが座っている事だ。
寝坊常習犯も席に着いたところで朝食を取り始めた。
と、私の朝食プレートに昨日までなかったカプセル状の錠剤が2粒置いてあるのに気が付く。なんだこれ?と思い手に取って見るが、黒っぽいソレは何の薬なのかもサッパリだ。
頭にハテナを浮かべている私の横で、天月くんが鼻をスンスンとさせるているのが視界に入った。
「微かに鉄の匂いがするね、鉄分摂取剤ってとこかな?」
『成程、』
本部には私の身体の状態が、全て筒抜けと言うことがよく分かる。
おおよそ1週間ごとのクスリを打ち込まれる時に身体検査もされるのだが、吸血鬼化の後から毎日身体検査をされていたし、驚く様なことでは無い。
カプセルを口に放り込んで水で喉の奥に流し込んだ。
・
425人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とこ(プロフ) - こゆきさん» 嬉しいです、ありがとうございます!遅くなり申し訳ないです、続編もよろしくお願いします。 (2022年9月22日 11時) (レス) @page50 id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - ばななさん» わざわざログインして頂き、嬉しいです、!ありがとうございます。遅くなりましたが、続編もよろしくお願いします。 (2022年9月22日 10時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます、お待たせしてすみませんでした、。 (2022年9月22日 10時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 続編待ってます… (2022年8月6日 23時) (レス) @page50 id: b05dbfc063 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めちゃくちゃ面白い!!!普通にハマったw (2022年4月27日 17時) (レス) @page50 id: 405c20d148 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とこ | 作成日時:2021年6月6日 17時