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細い彼からトクントクンと心臓の音が聞こえる。生きてることを実感して、彼に回している腕に無意識に力が篭った。
彼が何だか消えてしまいそうな気がした。
よく見ると点滴が付いていない。バッと顔を上げて目を合わせると哀しそうな顔をしたまふと目が合った。
『点滴は？そう言えば酸素マスクもさっき付いてたよね？』
少し焦って早口で言うが彼は何も言わずに、また私を腕の中に閉じ込める。再び心音が耳に入ってきた。
「吸血鬼がAのとこ行ったの知ってた。本当はすぐに助けに行きたかった。」
嗚呼、こんな時でも彼は私の心配ばかり。ダメだよ、もっと自分の心配しなくちゃ。
今の彼はいくら目が覚めたからと言って、点滴無しでずっとここに居て良い訳が無い。状態が悪化する可能性だってある。直ぐに戻らなきゃ。
彼から少し距離を取るように身体を離す。
『志麻がいたから私は大丈夫。早く救護室戻ろ？』
緩く腰に回されているまふの腕を掴んで歩けば、何も言わずに足を動かしてくれる。
そのまま彼が寝ていたベッドへ座らせるが、まふは寝ようとはしない。
『早く寝て。悪化しちゃうよ。』
肩を押して無理矢理寝かせようとするがビクともせず、そのまま腕を掴まれてしまう始末。
まふは俯いているのでどんな表情をしているのか全く分からない。
『まふ？寝たくないなら座っててもいいから取り敢えず点滴は刺そ？』
勿論 医療の知識なんて1ミリも無い私が刺せる訳もなく、治療をしてくれている本部の人を呼ぼうと連絡機器を取り出そうとするが腕を掴まれていて出来ない。
『腕離して、点滴刺してもらうから。』
少しキツめの口調で言うも効果は無い。
諦めてまふの話を聞こうと『どうしたの？』と言葉を落とした。
「Aを護るって言ったのに、護れてない。」
『そんな事ないよ。nqrse相手に追い込んだって聞いた。凄いよ。』
「でも結局逃がした。」
『私なんて見逃して貰って生きて帰って来れた。まふ達は私なんかより全然強いし、、』
「そらるさんに近い？」
思っていたことを彼に言われてドキリとする。
思わず彼の紅い瞳に目を合わせると何だか吸い込まれるような感覚に陥る。
私の目標は隊長だ。追い付きたいけど離れるばかり、そして隊長と私の間には皆が居る。私より強い皆の方が隊長に近いと言うことだ。
隊長だけじゃない、皆にも置いてかれてる。
彼の紅い瞳がゆらゆらと揺れていた。
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とこ(プロフ) - 七星さん» そんな風に言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます！続編もよろしくお願いします (2021年6月6日 17時) (
レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - Haoto-ハオトさん» ありがとうございます！嬉しい限りです、 (2021年6月6日 17時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - 瑠海那さん» ありがとうございます、続編もよろしくお願いします！ (2021年6月6日 17時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
七星 - 久々にこんなに面白い話に出会いました…!!!!!ゆっくりでも良いので続編お待ちしております。 (2021年6月6日 16時) (レス) id: f91053f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
Haoto-ハオト(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続編も頑張ってください！！応援します！！ (2021年6月6日 2時) (レス) id: 17268be681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とこ | 作成日時：2020年6月7日 20時
