【企画小説】特化風雅学園中学校・高等学校の日常日記！！2冊目 (ページ21)

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２日目（市川沙穂）ページ21

「もう体育祭なんて運動が得意な人だけがやればいいんですよ…そう思いませんか？」

虚ろな目で呟くと、塔山さんは困ったように首を傾げた。うん、困るよねそりゃそうだよ。今朝の５０ｍ走のタイムを思い出した私はまたもや頭を抱える。もう嫌だ。運動なんて私の人生になんの役にもたたないよ、きっと。

そんな私を見て塔山さんが「それはそうと」と切り出した。

「相談の内容は？」

「あ、そうだったね」

私は姿勢を正すと、深呼吸をする。そして口を開いた。

「昨日、特別校舎の人と話したんですよ」

「....はい」

「それで、私が無神経なこと言っちゃって怒らせちゃったみたいで」

少し目を伏せた。

「それは今度謝りたいと思うんです。で、本題はここからで。私、特別校舎の人とも仲良くしたいんです。それでもやっぱり私と貴方達じゃ違うし。また無神経なこと言って傷つけちゃうかもしれないし」

「....」

「それで....あの、特別校舎の生徒さんと話す時ってどういうことに気をつけたらいいんでしょうか」

おずおずと言うと、塔山さんはメガネの端をちょっと持ち上げた。しばらくしてゆっくりと答える。

「私達は、能力があるってことで大変な目に合ってきてる。気味悪がれたり、避けられたり、虐められたり。中には、あまりのことに人間不信になることも心を閉ざすことも」

悲しそうに空を仰いだ。

「市川さんが思ってるより酷い、酷い。仲良くしたいと思うのなら私はとめません。ただ、少しでも差別的な発言は駄目です。私達、というか皆さんはそういうのに敏感だから。わたしだったら....」

いったん口を閉じると、塔山さんはどこか遠いところを見るような目をした。

「やっぱり、普通に接してほしい」

ほんの少し口元に柔らかい笑みを浮かべて言ったのだった。

私は頷くと、塔山さんにお礼を言った。そして鞄から折り畳み傘を取り出す。

雨降ってきたしもう帰ろ。相談にのってもらえて良かった、かな。

【市川沙穂２日目終了】