8.おやすみが嫌い ページ10
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天元さまの部下の方に高専の敷地内まで送ってもらった。
ふらふらとした足取りで自分の寮の部屋を目指す。本来なら授業中だけれど、いまさら出る気にもなれない。
特級呪物の再封印。
私が任されている仕事の重要性がデカすぎて、責任感に押しつぶされそうだ。
それ以上にオーバーワークすぎて私の手には余る仕事。
今日やったのは高専が保持する特級呪物両面宿儺の指の再封印。
あの指の禍々しさが今でも忘れられない。
再封印するには一度既存の封印を弱めなければいけない。
押さえ込もうと呪力を流した時、宿儺の鱗片を感じてしまった。
もう少し、あと少しだけ私が弱かったら宿儺のの呪力に私は喰われていただろう。
「キッツイなぁ」
もう直ぐ秋も終わる。
次に来るのは冬の季節だ。
今年は夏が暑かったため、冬は厳しくなるとアナウンサーが言っていた。
よろよろと歩いていると、少しひらけた演習場で一年生たちが模擬戦をやっているのが見えた。
今彼らに構う元気はない。
見つからない様に避けて通ろうとしたのに、目敏く私を見つけたのは五条くんのあの六眼だった。
「A、なにさぼり??」
「あ、Aせんぱーい」
五条くんはニヤニヤと笑って硝子ちゃんはとてとてと駆け寄ってくる。
片手を上げて、仕方なくそっちの方に近づいた。
「あれ、A先輩体調悪いですか?」
最初に不調に気がついたのは、傑くんだった。
彼は相変わらず人の機敏に聡い。
ちょっと、まぁね。と笑ってごまかすと五条が眉を潜める。
「怪我してます??治しましょうか」
優しい硝子ちゃんの申し出をやんわり断った。これはそういう疲れじゃない。
他人の呪力に当てられたなんて、術者として恥ずかしくて口にできなかった。
「そうか、今日天元様に行く日だったな」
「「えっ、、?」」
しかし、この前カレンダーを見てしまった五条くんにはバレたらしい。
というかどんな記憶力だ。
「ま、まぁ。宿儺の呪力に当てられてちょっとね」
「はっ??宿儺ってえ、、特級の両面宿儺」
驚く硝子と対照的に黙ったまま眉間のしわを深めた五条くんが怖い。
後ずさると、お腹に腕を回され軽々と抱き上げられた。
「ちょっ、おろして…!」
「大人しくしてて、A先輩」
抱えられたよりも、初めて先輩と呼ばれた衝撃に動けなかった。
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時