7.となりにいる ページ9
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いくら忙しくたって学生には休みがある。
それが、学生と大人になって働いている呪術師との差だろうか。
午前中に借りてきたDVDとおやつで部屋でダラダラしていると当然ごとく五条くんがやってきてベッドに腰掛ける。
使い捨てのプラスチックのコップを棚から出して、コラーらを注いでやった。
「今なにみてんの」
「アラン・ポーの実写版。題名は忘れちゃった」
「ふーん」
ポーは推理小説の元祖と言われていて、その作風もちょっと現代の推理ものとは違うところがある。
「なんかさ、、一時期推理小説をアクション交えた映画にするのはやったじゃん?」
「ああー。そういうのあったね。戦うシャーロックとか」
「そ。当時は意味わかんなぇと思ってたけど、推理だけしてても退屈だよな」
「まぁ迫力はかけるよね」
流石に私も休日の談話室を占拠だなんて無粋な真似はしない。
だから私の部屋にはテレビとデッキが揃っていていつでも映画が観れるのだ。
なぜ夜は談話室を使うかと言ったら、談話室の方が個室の方に音が響かないからって理由で。
五条くんがこの部屋に来はじめたころは「女子寮に入ったらダメだよ」と言っていたがもう諦めた。
この自由人は止められん。
「ねぇA。あのカレンダーの印なに?」
五条が指差したのは壁にかかったカレンダーのたまについた星形や丸などのマークのことだった。
ちょうど明日のところに、星が書いてある。
「あぁ、あれは天元さまのところに行く日の印だよ」
「は??」
心底意味がわかんないという顔を五条くんがするから、そこで気がついた。
私は彼らに術式について話したことがなかった。
「私の家系はもともと呪術師じゃなくて結界師よりでね。
戦うのが本業じゃなくて結界とか張るのが得意なの」
「結界とかできる奴あんまいないんだろ」
「そそ、だから重宝されててね。で、私が得意なのはその中でも《封印》に偏ってて、たまに特級呪物とかの緩んだ封印とかの補強を頼まれてるの」
「お前が??マジかよ……」
「今までどんだけ私のこと舐めてたの……」
信じられないと、その綺麗な目で私の顔を見る五条くんの頭を軽くチョップする。
結局、推理映画の話はなにも耳に入らなかった。
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時