42.海祇の亡き声 ページ44
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つい先日は恥ずかしい事に、談話室で寝落ちしてしまったらしい。
しかも悟の肩を借りて。
気がついたら映画はエピローグが流れていて、悟に叩き起こされた時の恐怖は忘れられない。
アレのせいでバッチリ目が覚めてしまったのだ。
普段はしない失態だ。
もしかしたら自分が思う以上に疲労が溜まっているのかもしれない。
反省しなければ。
「先輩って平凡ですよね」
「なにそれ。遠回しにディスってるのかなぁ」
そんな今日この頃。
とある海岸沿いの町まで一年生の引率について来ていた。
元気溌剌な子はこの前あった灰原雄くん。
そして、背の高くて目つきがだいぶ悪いのは七海健人くんだと言う。
「君たちは一般出で分からないかもしれないけれど、呪術師みんながみんな変人な訳じゃないからね。
特に二年生2人の事なんて間違いなくマネしないよーに」
春の穏やかな海岸を歩く。
呪霊が出るとは思えないほど穏やかな夕焼けの海。
しかし、この港付近の沖では波が穏やかであるのに船が沈む事故が多発しているらしい。
その調査と原因削除が今回の任務。
船を沈ませる呪霊なんて一般出の一年生に任せるものではないけれど、今日はただのレクレーションだ。
学校の中で座学や体育ばかりで無くたまには外で、先輩の任務でも見てこいとのこと。
「二年生2人って、夏油さんと五条さんのことですよね。
そんなにあの人たち凄いんですか??」
「ちょーすごいよ。
語彙力なくなるぐらい凄い。
今の二年生は1000年に一度とか言われてる学年だよ」
「へー。じゃぁA先輩は強いんですか?」
「んー。強いよ。本気出せばそれなりに強い」
さっきっから灰原くんばっかり喋って七海くんは一言も口を聞いてくれない。
くるりと後ろを振り返ると彼は熱心に海を見つめていた。
「どーしたの七海くん」
「いえ。だいぶ歩いたのに残穢が微塵も感じないので本当に呪霊の仕業なのかと」
それにつられて私も海を見つめる。
あまりにも穏やかな夕焼けの海。
たしかに、そこに醜い呪霊がいるとは思えないような光景だ。
少し笑って私は完全に後ろ2人の方に体を反転させた。
指を一つ立てて、勿体ぶってから口をひらく。
ねぇ、しってる?
「この世界は不思議なことに、
恐れられれば神さえもが呪いとなるんだって」
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時