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39.春風が運ぶもの ページ41

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ついに悟に一回も勝てなくなった。
前までは勝率は3:7ほどだったのについに手も足も出なくなった。


しかも負ける度に、悟は「向いてないんじゃねぇの」とか「弱いんだから辞めてしまえ」とか、「雑魚の子守とか絶対ぇやりたくねぇ」とか……、まぁ暴言が酷い。


しかも温厚な筈の傑でさえも、そんな五条を咎めない。

ただ、困ったような顔をして、その後悲しそうな表情をする。



「気にしなくていいんですよ、あんな奴の言うこと」


「とは言ってもねぇ」



硝子ちゃんは気にするなと言った。
遅めの反抗期だって言ったら、模擬戦でボコボコにされてたけど。



そんな歪な関係を大切に繋いでいたら、いつの間にか季節は巡り、私は3年生になった。

硝子ちゃんたちは2年生に。

そして今年も新しい1年生がやってくる。




―――――――
――――
――




皐月の初め。

校内のエントランスで補助監督が任務の誘導に来るのを待っていると、聞いたことのない明るい声が聞こえてきてふと本から顔を上げた。


隔てなく繋がっている廊下の方に目をやると、制服を着た知らない男の子がやってくる。


こんな人数のいない学校では、知らない生徒なんていない。
だからそれが今年入学した一年生だってことは一目で分かった。




「はじめまして、3年の霜宮Aです」


「僕は灰原雄です!!霜宮先輩の噂は予々伺ってます!」


「えぇ、、そんな噂たてるようなことした覚えないんだけどなぁ」



人好きのする愛嬌のある新しい後輩は、勢いが随分といいようだ。
差し出された手を握り締めれば、嬉しそうに破顔する。……なんか犬みたい。



「そりゃあ五条先輩から色々と。
……先輩の代は一人なんですか??五条さんの代は3人いるの聞いたんですが」


「うん。三年生は私一人かな。
今年一年生は何人入ったの??」


「僕含め2人です。
噂は聞いていたんですけど、本当に生徒が少ないんですね」


「まぁね。
……んん?という事はキミは一般からの出なの??」


「えぇ。
僕も、あともう1人も呪術師の家系ではないです。街角でスカウトされて入学決めたんですよ」


「そっか………。
困ったことがあったら気軽に相談してね」




その明るさが、失われないといいなと思った。
曇りなく笑う新しい仲間をみて少し感情に浸る。


少し眩しいな、と思った時。
後ろから体重をかけられて前によろけた。

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設定タグ:五条悟 , 呪術廻戦   
作品ジャンル:アニメ
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時

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