28.世界はキミを嫌っていく ページ30
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「マイナスとマイナスをかけたらマイナスになる……。
それって【虚数】ですよね」
「そ。虚無の数。あるはずがない
私は虚数のように、反転術式を使っても、《
え、そんなことあるんですか??と傑が目を見開く。
そうなんだよねぇと、情けなく笑いながらため息を落とした。
反転術式は何かと便利な術式だ。
誰もが扱えるわけじゃないけど、緻密な呪力操作により大体の傷は治るという。
「反転術式が反転しない。
そのせいで私は、他人の反転術式による怪我の治りが悪いんだよ」
「あぁ、それが前硝子に言ってた諸事情ってやつですか」
「そそ」
反転術式の効果がない。
それは絶大なデメリットだった。
呪霊と戦う上で怪我は避けられない。
反転術式を使えば1日で治る怪我を、私は一ヶ月かけて治すしかない。
時間をかければ、徐々には良くなるが、それでも他人と比べると雲泥の差だ。
「まぁ、そんな摩訶不思議な呪力で作ったこの結界は屈強でね。
一度閉じ込めると、残穢のざの字も感じられなくなる」
便利なようで不便な力だ。
「で、その箱。
傑が持って帰る??」
「え、持ち帰ってどうしろっていうんですか」
「封印解いてみたら?」
「絶対に解けないって言ったのA先輩じゃないですか……」
「絶対なんて言ってないし。
それに、人様の呪霊を封印したの初めてだから、すぐるなら解けるかもよ??」
ほらほら、呪力操作の練習にもなるし。
変な顔する傑の手から、箱を奪ってちょっと細工をする。
正方形の角に穴を開けて、鍵につけていたキーホルダーのチェーンを取って箱に結んだ。
簡易的だけど、キーホルダーっぽくなったかな?
「え、私呪霊持ち歩くの??
しかも箱に穴開けてるし」
「え、人の親切心にドン引きしないでよ。
箱型なのは私がイメージしやすかったからで特に意味なかったし……。
やっぱ、キーホルダーっぽく星形とかがよかった??」
「…………」
「え、何その目。
やめてよ、なんか怖っ」
ヤバいやつを見るような目を向けられたので、無理やり傑にチェーンがついた黒い箱を手渡す。
光さえ飲み込むような純黒の箱はシンプルながらデザインはいいと思うのに。
そんな私に、傑はため息をついて寮の鍵にくくりつけた。
“その箱が数年後、重大な役割を果たす事になる。”
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時