10.おやすみが嫌い ページ12
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「Aっ、!!」
五条くんの焦った様な声が聞こえた。
崩れ落ちた体をとっさに支えてくれたおかげで、床に倒れ込むことはなく細い息を吐きだす。
「へーきへーき。いつもの事だから。
それよりも、宿儺の呪力消えたでしょ?」
「……消え、てる」
いつまでも支えられているわけにもいかないから、ゆっくりのとベッドの縁におろしてもらった。
まだ、うまく力の入らない手足をふらふらと振って様子を確かめる。
「さっきのが碧の術式か?」
「うん。みんなには内緒だよ?
学生にも先生にも。……
もちろん、五条家の人にも」
静かな部屋だからゴクリ吐息を飲む声が聞こえた。
きっと、彼はいい眼を持っているからこの術式の本質をのぞいてしまったのだ。
「さっきの穴は本当に結界なのか」
「……五条くんはアレを《穴》と呼ぶんだね。
本当に、、よくみてる。
他の人はね、アレをみてもただの影だと思うんだよ」
真っ黒に染まる闇。
闇の広がる空間。
禅院家も影の術式を扱うというけれど、それとは遥かに違うもの。
「五条くんは穴って言ったけど、私はあれを《
あの闇には底がない。
空っぽの空間。
光も、影も、呪力すら飲み込む永遠の
それが私の扱う《
「あれが、
少しずれたサングラスの奥で、白い睫毛と青い瞳が見えた。
空の色をした綺麗な瞳。
私からしたら、これも
透明で、透明で、そこにはなにもない。果てはなく、どもまでも見通してしまう
「あんまり、あの結界に魅入られたらダメだよ」
ずれたサングラスを直してやって、軽くデコピンをする。
すると漸く、見開いた眼を瞬かせいつもの五条くんらしさが戻ってきた。
「もしかしたら私と五条くんの術式って似てるのかもね」
「は?なんでそうなんだよ」
「無限はね、、なんでもある様に見えて、何にもない空っぽなんだよ」
なんだそれと鼻で笑った五条くんのふさふさの頭を撫でる。
いつかきっとわかる時が来る。
空っぽに押しつぶされそうな日が来てしまう。
その本質がわかったときに、君はきっと自分の領域を知るんだ。
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時