14.きみがいうから ページ16
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「A、もう一回!!」
「いーやーだー」
負けたのが気に食わないのか、あれからしつこく五条くんが迫ってくる。
ただえさえ痛めつけられたのに、そのあとの傑くんとの連戦でもう疲労困憊だ。
これならまだ一級の呪霊を相手にした方が断然マシ。
夜蛾先生にも労われ、演習場の階段に腰を下ろす。
いまは、硝子ちゃんと傑くんが手合わせをしていた。
「勝ち逃げなんて許さない」
「逃げてない。また機会があったらね」
「じゃあ明日」
「明日から任務で三日間不在です。
ていうかなんでそんなすぐ??
暫く五条くんとはしたくないんだけど」
きっと次は負けるんだろうなぁと、心の底では思っていた。
今日、五条くんと傑くんに勝てたのは単純に彼らが私の戦い方を知らなかったからだ。
体術に関して私はとても不利な立場だ。
体は大きくない。
体重も軽い。
力もない。
攻撃を当てても、軽すぎて大したダメージにはならない。
それを補うために、柔軟さと的確さを鍛えてきた。
柔らかい関節。急所を狙う的確さ。
大した力がなくても鳩尾を押し上げるように掌底を入れればダメージは通る。
積み上げてきた、純粋な技量の差だ。
あときっとアクション映画。目はそれで養った。
「それに私ステゴロ専門じゃないし。
普段は呪具使って呪霊は祓ってるしね」
「じゃあ次は呪具ありでいいから」
「……やだよ。
あれは人に向けて使うものじゃないもん」
なかなか引き下がらない五条くんにため息をついた。
何がそんなに彼を執着させるのかよくわからない。
今まで天才天才ともてはやされて、負けに慣れていないのだろうか
……、それにしたって、何か違う気がした。
「……そんなに私に叶えて欲しいお願いがあったの?」
だとしたら、思い当たるのはもうそれしかなかった。
たっぷりと黙って、ようやく五条くんは言葉を選ぶように口を開く。
「アンタは、傑と硝子は名前で呼ぶのに俺は苗字だろ」
「………、」
そこまでいえば全てわかった。
呪術師の家に生まれた子は複雑だ。
自分の家名を心酔するか、心の底から憎悪するか。その二択しかない。
「私はいつだって、君たち後輩の願いを受け止めようとしてきたつもりだったよ、、悟」
キミがその名前を求めるなら、私はいつでも答えるよ。
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時