12.きみがいうから ページ14
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「ボッコボコにしてギャン泣きさせてやるよ」
ポキポキと関節を鳴らす五条くんに、ははっと乾いた笑いが漏れた。
さっと私と五条くんの間に立つ夜蛾先生を見るも、助けは見込めなそうだ。
前にはやる気満々の五条くん。
先生の前で逃げ出すわけにもいかない。
後ろで、「頑張れー」と硝子ちゃんのやる気のない声援が聞こえた。
本当に、頭を抱えたい。
「どうして、こうなった……」
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――――
――
私はあまり外部の任務に出ない。
理由は私の本職が結界師ということが大きくて、そっちの任務が多い分討伐の任務が減らされるのだ。
今日も今日とて、任務に行く同期を見送って一人になる。
そこを、一年担任の夜蛾先生に見つかったのが運の尽きだ。
「術式使用禁止、呪力を込めるのもなし。
純粋な技量のみの勝負だ。
悟、Aに怪我はさせるなよ」
「はーーい」
わかってるのかわかってないのか適当な返事に恐怖した。
五条くんの目は爛々と輝いていてやる殺る気だ。
「A、先輩としてよ意地を見せてやれ」
「……はーーい」
そんな意地殴り捨ててやると心底思った。
この前の宿儺の件よりも命の危機を感じている。
お互いの好きなタイミングで始めろといって、夜蛾先生は後ろに下がった。
さらに五条くんの口角が上がった。
「ねぇ、A先輩。
俺が勝ったら、俺のお願い一個聞いてよ」
「え、やだよ。嫌な予感しかしないんだけど」
「大丈夫だって。変なお願いしないから」
そっちの方が盛り上がるでしょ?
それとも、先輩最初っから負ける気なの??
後輩の煽りに恐怖しかない。
なんだこの後輩、先輩に対して失礼すぎやしないか。
思わず、少しだけうなずいてしまった。
そしたら五条くんはものすっごくわるい笑みを浮かべて、白い歯をみせる。
「ボッコボコにしてギャン泣きさせてやるよ」
そして冒頭に映るわけだが、もうすでに目尻に涙が浮いている気がした。
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時